外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い」(38)坂東眞理子さんと考える「男女格差」

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   今年の世界の男女平等ランキングで、日本は156カ国中120位だった。なぜ男女格差を克服できないのか。一貫して格差解消に取り組んできた昭和女子大理事長・総長の坂東眞理子さと共に考える。

  • 坂東眞理子さんの理事長ブログ/昭和女子大HPより
    坂東眞理子さんの理事長ブログ/昭和女子大HPより
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日本はなぜ「変えられないのか」

   世界経済フォーラム(WEF)は2021年3月末に「世界のジェンダーギャップ報告書」を発表した。これは06年に始まり、今回が15回目。教育・健康・政治・経済の4分野14項目で、100%を「完全な平等」として、各国の達成度を指数化している。

   日本は156カ国のうち120位。主要7カ国(G7)のうち6番目のイタリア63位からも大きく引き離され、最下位だった。

   06年に80位から出発した日本は、09年に101位に落ち込み、続く2年は90位台を記録したものの、12年以降はずっと100位以降を低迷し、昨年は最悪の121位まで落ち込み、今回もほぼ同じ水準だ。

   なぜこれほど格差が大きいのか。分野別にみると、「健康」では65位、「教育」では92位だが、「経済」が117位、「政治」が147位と、政治・経済が大きく全体の足を引っ張っていることがわかる。

   これについては過去最低となった昨年3月、WEPも「日本はどのように格差を縮小できるか」という報告を出し、問題点を指摘した。

   それによれば、日本は前年より11ランク、06年の第1回に比べ41ランクも世界順位を落としているが、改善の鍵となるのは政治と経済の分野だ、と指摘する。

   政治部門の格差は世界最低10位のグループに属しており、国会議員の女性比率約10%は先進諸国に比べ20%も低い。経済における管理職は15%に留まり、女性の平均賃金は男性の半分しかない。これは、女性が男性の4倍も家事労働に時間を割いている結果であり、男女の賃金ギャップは、経済協力機構(OECD)加盟国では韓国に次いで大きい。女性が進出できないのは「無意識のバイアス」があるためで、伝統的なジェンダー役割に対する社会的な期待が進出を遅らせ、あるいはハラスメントなどの障害を作り出している。政治と経済は相関関係にあり、「クオータ制」の導入やインセンティブで社会進出を促せば、相乗効果が期待できる。

   報告書は、まさにその通り、というしかない程的確に、問題点を指摘している。だが、改善点が明らかになっても、問題はおそらく解決しない。この間、日本が一貫してランクを落とし続けているのは、男女の格差が拡大し続けているからではない。世界の大勢が大きく変化を遂げたのに、日本だけが旧態依然に留まり、相対的に平等の度合いが落ちているためだ。つまり問題は、「どう変えるのか」という点にあるのではなく、「なぜ変えられないのか」という点にある。

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