2024年 4月 25日 (木)

なぜバイトテロは繰り返されるのか? 変わる傾向と「注目を集め続ける理由」、専門家が分析

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   2021年6月、またしても、愚かとも言える悲劇が繰り返されてしまった。「バイトテロ」が相次いで明らかになったのだ。

  • 形を変えつつ発生し続けるバイトテロ。なぜ、根絶できないのだろうか?(写真はイメージ)
    形を変えつつ発生し続けるバイトテロ。なぜ、根絶できないのだろうか?(写真はイメージ)
  • シェイクをヘラですくってなめる店員(インスタグラムから)
    シェイクをヘラですくってなめる店員(インスタグラムから)
  • まかないのカレーに「不適切行為」が(インスタグラムから)
    まかないのカレーに「不適切行為」が(インスタグラムから)
  • 店のモニターを凝視する店員2人(TikTokから)
    店のモニターを凝視する店員2人(TikTokから)
  • 形を変えつつ発生し続けるバイトテロ。なぜ、根絶できないのだろうか?(写真はイメージ)
  • シェイクをヘラですくってなめる店員(インスタグラムから)
  • まかないのカレーに「不適切行為」が(インスタグラムから)
  • 店のモニターを凝視する店員2人(TikTokから)

いつまでたっても繰り返される愚行

   まず、5日にネット上で騒動になったのは、ファミリーマートの店員らが店のバックヤードに設置されたモニターで、レジに並ぶ女性客の胸をのぞくような様子を映した動画。動画はスマホアプリの「TioTok」に投稿されており、撮影者も含め、現場には3人がいたことが分かるものだった。この動画についてはネット流出後の6月5日、視聴者のさまざまな相談に乗るYouTuber・コレコレさんが自らのチャンネルで取り上げ、さらに認知度が上がる結果となった。

   また、8日には、やはりコレコレさんがネット上で話題になっているとして、ドミノ・ピザの店員が店の厨房でシェイクをヘラですくってなめる様子の動画を自らのチャンネルで特集。動画はインスタグラム上で公開されていたものだったが、コレコレさんが取り上げたためか、特集の最中に当該アカウントは非公開の設定となった。だが時すでに遅し。動画はネット上で大注目され、やはり、バイトテロとして世の中に知れ渡ってしまったのだ。

   そして、13日には「カレーハウスCoCo壱番屋」の店員が休憩室でカツカレーに陰毛らしきものを「スパイス」と称して投入する様子を映したインスタグラムのストーリーズの動画が、鍵付きアカウントであるにもかかわらずツイッター上に流出。瞬く間に拡散され、こちらもやはり、大注目を浴びる結果となってしまったのだ。

   これらの行為は、いずれも大手企業のチェーン店で行われていた。飲食店やコンビニなどの店員が不適切行為を撮影し、その写真や動画をSNSで公開・拡散させることで、当該企業の社会的信用を著しく失墜させる――この手の行為は「バイトテロ」と呼ばれて久しい。だが、こうした行為は有名になってからすでに長い時間がたっているにもかかわらず、それでも、散発的に発生し続けている。

   そこで、J-CASTニュース編集部は、これら、いつまでたってもなくならないバイトテロの最新事情について、ITジャーナリストの井上トシユキ氏に話を聞いた。

かつてのバカッター騒動の時は静止画で拡散していたが、今は動画が主流

   まず、井上氏はバイトテロの最近の傾向について、以下のように指摘した。

「バイトテロはその時代に流行っているSNSに依拠する形で広がるので、そのSNSの名前を冠した別名が付けられます。2013年7月に発生したコンビニ店員によるアイスの冷凍庫に侵入した姿を撮影した写真をはじめとする一連のバイトテロはツイッターにちなんで『バカッター』と呼ばれていました。ただ、時代は下って、今は動画が普通に撮影できる時代であり、このため、バイトテロの主流はインスタグラムの『ストーリーズ』にアップされた動画であり、まさに、『バカスタグラム』全盛の時代と言えるでしょう」

   つまり、形を変えつつも一部ネットユーザーの愚行はネット上で拡散され続けているというわけだ。ただ、それにしても、この手の「日常茶飯事」と化したバイトテロがいまだに人々に注目されるのはなぜなのだろうか。この問いに対し井上氏は、大手企業のチェーン店で行われており、誰もが利用する可能性があるという「普遍性」が人々の注目を集めやすいという点がまずあるとしつつ、それに加え、この時代ならではの点もあると指摘した。

「新型コロナウイルスの流行が長期化、かつ、慢性化している点は無視できないと思います。あくまで私見ですが、やはり、コロナ流行の初期はバイトテロの件数自体が減ったように感じておりますし、緊急事態宣言の発出が繰り返される中、やはり、『コロナに飽き飽きしている』という感情は日本人に『蔓延』しており、そうなると、これらのバイトテロが退屈になってしまった日常における『清涼剤』として機能している面は否定できないと思います」
「さらに言うと、長引く自粛生活の中で時間を持て余した、今までネットにそれほど触れていなかった人々がバイトテロの動画を見てしまうと、これらの人々にしてみればバイトテロは『新鮮』な騒動なので、『けしからんことが起きている』と怒りに震えつつ動画を拡散してしまうという要素もあると思います」

なぜ、鍵アカの動画が流出するのか?

   形を変えつつも時代を超えて発生し続けるバイトテロだが、2021年に入ってから目につくのは、閲覧者が限定されている「鍵付きアカウント」で公開されていた動画が流出し、大騒動に発展するという例だ。これに対して井上氏は、原因は2つあると指摘した。

「1つは、『鍵アカ』の中にネット上だけの知り合いを入れてしまっているというパターンです。実際の知り合いでなければ、バイトテロの動画に気付いた際に、『面白いから自分の知り合いに教えてしまおう』などと安易に考えがちであり、その結果、『知り合い』しかいないはずの鍵アカが原因でバイトテロが発覚してしまうのです」
「もう1つは、本当の知り合いが動画データをコピーして第3者に提供してしまうという例です。鍵アカの中での動画公開であってもそのデータをコピーする方法は存在している以上、本当の知り合いからの漏洩も発生してしまうのです。それは、動画投稿者を陥れようなどと考えているとは限らず、ふとした瞬間にその知り合いが第3者にバイトテロの動画を見せてしまい、そのデータを要求された際に、面白いからとの理由で『悪意なく』データを提供してしまうのです」

   最後に、最近では「Tik Tok」によるバイトテロも起きているわけだが、今後、「TikTok」がバイトテロの主流になる可能性はあるのだろうか。

「TikTokを見てみると、実に『自由』な投稿が多く、若い人にとっての『楽園』になっています。ですので、現在はインスタグラムのストーリーズが主流であっても、バイトテロのトレンドがTik Tokに移るということは、いつ起きてもおかしくない状況です。そのようなことが起きた際には、バイトテロの別名が『バカトック』になってしまうかもしれません」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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