2024年 4月 24日 (水)

遭難者の命を「登山アプリ」が救った! 圏外でも位置共有できるハイテク機能、救助現場で活用進む

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   登山中に遭難した父親を、登山アプリ「YAMAP」で発見できたという体験談が、ツイッターで話題となった。登山者の位置情報を家族や友人と共有できる「みまもり機能」が救助に役立ったという。

   アプリを運営するヤマップ(福岡市)は、J-CASTニュースの取材に対し、利用者からの相談を受けて実装した機能だと明かす。

  • 登山地図GPSアプリ「YAMAP」
    登山地図GPSアプリ「YAMAP」
  • 活動を記録できる
    活動を記録できる
  • みまもり機能の仕組み1
    みまもり機能の仕組み1
  • みまもり機能の仕組み2
    みまもり機能の仕組み2
  • みまもり機能の仕組み3
    みまもり機能の仕組み3
  • みまもり機能の仕組み4
    みまもり機能の仕組み4
  • 登山地図GPSアプリ「YAMAP」
  • 活動を記録できる
  • みまもり機能の仕組み1
  • みまもり機能の仕組み2
  • みまもり機能の仕組み3
  • みまもり機能の仕組み4

「みまもり機能」で遭難者の緯度・経度の位置情報が分かった!

   23年1月中旬にツイッターで紹介された体験談によれば、投稿者は数年前に父にYAMAPを勧めており、自身はそのみまもり機能を用いていたという。

   ある日、投稿者の父は週2、3回ほど登っている慣れた山で滑落し、動けなくなってしまった。投稿者はアプリを通して、遭難した父の緯度・経度の位置情報を把握し、消防へ伝えた。消防航空隊は40分ほどで現場に訪れたという。発見された父は、低体温かつ大怪我を負っていたものの一命をとりとめることができたそうだ。

   投稿者は、アプリを運営するヤマップや救助に携わった人々に感謝し、登山者にみまもり機能の使用を勧めている。

   ヤマップ代表取締役CEO・春山慶彦さんは2023年1月17日、ツイッターで「お父様のご生命が助かって何よりです。YAMAPの社内メンバー一同、よろこんでおります」と体験談の共有に感謝した。

   YAMAPは、スマートフォンのGPS(全地球測位システム)で自身の位置情報や登山ルートを把握できるアプリだ。2013年3月1日にリリースされ、23年1月までに350万回以上ダウンロードされた。

   登山口で地図を開き「活動を開始」ボタンを押すと、自分が歩いた軌跡や標高、活動時間などを記録する。みまもり機能を有効にすると、登山活動の記録を行っている間、通知先に設定した家族や友人に位置情報を共有できる。

   どうやって電波の届きにくい山の中で、登山者の位置情報を知らせることができるのか。取材に対しヤマップは、利用者が増えるほど、位置情報が多く集まる仕組みがあると説明する。

「登山文化」が生かされている

   ヤマップは、みまもり機能の仕組みを次のように説明する。

   登山者のGPS位置情報は、電波が繋がる場所ではYAMAPサーバーに自動送信されている。さらにアプリを利用するユーザー同士がすれ違うと、お互いの位置情報を交換する仕組みもある。

   電波が届かない場所では、すれ違ったユーザーのどちらか一方がオンラインになったときに、双方の位置情報がYAMAPに届く。

「直接すれ違った相手だけでなく、相手が山行中にこれまでにすれ違った全ての人の情報を交換できるため、利用者が増えるほど、位置情報が多く集まります。
この情報を家で待つ家族に送っているのがみまもり機能です。警察や消防など救助機関と連携することで、山岳遭難時の救出可能性の向上を期待できます」

   サーバーに保存された位置情報は、公的機関(警察・消防)から情報提供の依頼があった場合には提供することがあるが、みまもり機能の通知先以外には開示されず、30日経過後に自動的に削除するとしている。

みまもり機能の仕組み1
みまもり機能の仕組み1
みまもり機能の仕組み2
みまもり機能の仕組み2

   位置情報を交換する機能は、山ですれ違った人に「こんにちは」と挨拶する文化を土台にしている。万が一のとき、「誰とどこですれ違ったか」という記憶や情報は捜索に役立つ。この仕組みを近距離無線「Bluetooth」で再現したのが「こんにちは通信」で、アプリ利用者がすれ違うと通知がくる。当初は利用者同士の交流に用いられていたが、利用者の声を受けて進化した。

   2018年ごろ、ユーザーから「知り合いが山で遭難してしまった。捜索の手がかりになる情報がYAMAPにあがっていないか」という相談が相次ぎ、無力感を覚えた開発者が改良を行ったという。位置情報を交換する仕組みを持たせることで、圏外にいる登山者の情報を得られるようになった。

遭難防止に救助に役立つ「登山計画機能」

   ヤマップによれば、アプリはリリース当初、本社のある九州地方を中心に登山愛好家の間で広がっていった。現在は活動内容を写真や文章で共有しあえるコミュニティSNSとしての側面も人気を博し、若年層から中高年まで幅広い年代層が活用しているそうだ。

   昨今はYAMAPの登山計画機能で作成した登山計画が、正式な登山届として受理される取り組みも広まっている。登山届は、有事の際の捜索に役立てるため、一部の地域で提出が義務付けられている。しかし手間がかかることや、「低山だから大丈夫」などの気のゆるみから提出しない人もいるという。ヤマップは、アプリで登山計画書の記入・郵送・投函などの手間を省くことで、登山届の提出率があがり、救助が迅速化することを期待している。

   実際に遭難事故があった際は、遭難者の家族や警察・消防から情報提供を求められることも多いという。公式サイトに設けられた情報提供依頼フォームへの問い合わせは増加傾向にあり、対応した件数は2021年で89件、2022年で200件だそうだ。

   ヤマップは、フォームに入力された情報をもとにアプリ利用者のアカウントを特定し、位置情報を警察や救助機関に伝えることができる。しかしみまもり機能を用いれば、ヤマップを介してアカウントを特定する手間などが省け、迅速な救助につながるという。

   今回みまもり機能が活躍したエピソードを受けて、ヤマップは次のように述べた。

    「みまもり機能をお使いいただき、ヤマップを経由することなく、ご家族から直接、現在地(緯度・経度)をお伝えいただけたことは開発者が描く体験としてとても理想的で、メンバー一同大変嬉しく思っております」

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