2024年 5月 20日 (月)

老後資金根こそぎ奪う「FX取引」詐欺が急増 人生経験豊富シニアを騙す「LINEチャット」の手口

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「FX取引、絶対にもうかる」「一緒に稼ごう」

   LINEチャットで知り合った見知らぬ相手から1000万円以上もだましとられるシニア世代が急増しているため、国民生活センターは2024年1月24日、「SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?」 という警告リポートを発表した。

   人生経験が豊富な人が簡単に騙されるとは、いったい、どんな手口か。大事な老後資金を守る方法を担当者に聞いた。

  • 退職金をだまし取られるシニアが多く…
    退職金をだまし取られるシニアが多く…
  • (図表)FX取引の仕組み(国民生活センター作成)
    (図表)FX取引の仕組み(国民生活センター作成)
  • (イラスト)FX取引に注意(国民生活センター作成)
    (イラスト)FX取引に注意(国民生活センター作成)
  • 退職金をだまし取られるシニアが多く…
  • (図表)FX取引の仕組み(国民生活センター作成)
  • (イラスト)FX取引に注意(国民生活センター作成)

儲かった分を出金しようとすると、多額の税金要求

   FX取引(外国為替証拠金取引)は、証拠金を預けて、日本円と米ドルなど2つの国の通貨の為替相場を予測して売買を行う金融商品のこと。

   仮に、為替相場が1ドル=100円の時にドルを買い付け、円安になり1ドル=110円でドルを売却すると、10円の利益が出る。逆に、1ドル=90円と円高になると、10円の損失が出る【図表】。

   FX取引では、預け入れた証拠金の何倍もの金額の取引を行なうことができるレバレッジという仕組みがある。そのため、利益も大きいが、損失も大きくなる。

   たとえば、50万円を預け、証拠金の20倍の取引を行うと、1000万円相当のドルの買い付けができる。その際、1ドル10円の値動きがあると、100万円分の利益もしくは損失が発生する、リスクの大きい取引なのだ。

   国民生活センターによると、FX取引をめぐる相談は近年増えており、2023年度(11月末現在)は約2200件。50歳~90歳代が5割以上と、ミドル・シニア層が多いのが特徴だ。

   こんな事例が代表的だ。

【事例1】退職金の運用を学ぶためにSNS上の投資グループに参加し、FX取引をしたが出金できない

   老後に備えて退職金を運用する勉強をするため、SNSの広告で見た投資セミナーのLINEグループに登録した。そこで、実際に資産運用に成功したという事例を聞き、投資セミナーの運営事業者に勧められてFX取引を始めた。FX取引アプリが無料で提供され、取引を進めると利益が出た。徐々に投資額を増やし、計500万円を毎回異なる個人名口座に振り込んでいた。

   その後、500万円の出金を求めたところ、「出金には税金として160万円が必要」と言われ振り込んだ。しかし、「間違った口座に入金された」と言われ、再度別の口座に160万円を請求され、指示通りに振り込んだ。しかし500万円は出金されなかった。(2023年9月・60歳代男性)

【事例2】FX取引で口座から出金を申し出ると、口座残高の半分の証拠金を要求された

   SNSで見たFX取引の広告が気になり、アクセスしたらLINEのグループに招待された。グループ内では「もうかった」という成功談が多く書き込まれており、興味を持った。グループ内にいたFXの取引所担当者を名乗る者の案内に従い、免許証の画像を送信してFX口座を開設し、証拠金約1000万円を振り込んだ。

   さらに振り込もうとすると、インターネットバンキングがブロックされた。銀行に問い合わせると、「不審な点があるので制限した」と言われた。FX口座には取引の利益を含め約1400万円あったので、取引所のオンラインサポート窓口に出金を申し出た。すると、「出金するためには、さらに口座残高50%の証拠金(約700万円)が必要だ」と言われた。投資に詳しい知人に相談したら、「詐欺に遭っている」と言われた。(2023年8月・60歳代男性)

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