ひと昔前の新人の花見の場所取り、パワハラと言われます
――私は70代ですが、昭和や平成の初め頃までは職場で行なう歓送迎会は花見を兼ねて桜が見える場所で開くのが通例でした。新入社員の最初の仕事は花見の場所取り。そして、歌や隠し芸などを披露して先輩と懇親を深めたものです。現在は、職場で歓送迎会と花見と一緒に開くということは少ないのでしょうか。
稲垣昌宏さん 花見と歓送迎会を併せて行うことが多いか少ないかは、データがないので何とも言えませんが、会社の宴会自体が減っている以上、増えているということはないと思います。
新入社員に場所取りをさせるなどは、以前は普通でしたが、今それをやろうとすると、「それは業務なのか? 命令なのか? 勤務時間に含まれるのか?」などとややこしい問題もあり、歌や芸についても強制すると「パワハラ」になる可能性があり、減っていくと思います。
――最近の歓送迎会と花見会の企画で、特に面白い傾向や特長がありますか。こういう企画を行うと盛り上がるよというアドバイスをお願いします。
稲垣昌宏さん 歓送迎会についてはコロナ禍で「オンライン開催」という新たな形態が始まり、2024年度でも一定数の開催はあったようです。コロナ禍終了とともになくなったという話ではなく、新たな開催方法として定着したかもしれません。
花見については、詳細なデータはありませんが、ひと昔前のビニールシートの上に座って、飲酒しながら芸や歌などを交え長時間行うというスタイルから、食べ歩きなどを中心に短時間で楽しむのが増えている気がします。
弊社の2024年の調査では、「屋外にシートを敷いて長時間飲酒をする」という楽しみ方は3割程度。残りは「桜まつりなどのイベントを食べ歩きする」「川沿いなどを散歩して楽しむ」です。これは若年層を中心にタイパ=タイムパフォーマンスを重視する傾向があるため、あまり長時間の宴会を好まないということも影響しているかもしれません。