大学側は「出力を批判的に考察する力を養うことを目的」
だが、SFCはAI利用を全否定しているわけではないと、受講生は受け止めている。
受講生が25年2月にSFCを受験した際、小論文のテストで出題されたのもAIに関するものだった。総合政策学部と環境情報学部の小論文では、膨大な量のテキストデータを学習して文章を理解・生成するAIの技術「大規模言語モデル」を用いて生成された文章が資料として使われていたという。
「当時の私は、剽窃や捏造が許されないはずの大学で、AIによって出力された文章に関する入試問題が出題されたことに驚きました。今回の対応(編注:授業課題でのAI対策)を通じて、SFCはAIなどの優れた技術を適切な場面で適切に活用すべきであるという寛容な考えを持っていることを改めて感じました」
今回の取り組みについて、大学側にも狙いを聞いた。慶應義塾広報室によると、今回の課題が話題になった必修科目「総合政策学」では、次のような目的があるという。
「総合政策学部で扱われる多様な学問分野の基礎的な知識や思考法の習得と併せて、生成AIをはじめとする最新テクノロジーにより急速に変化する教育環境の中で、不用意な技術利用がもたらすリスクについて学生自身が深く理解することを目指しております」
課題の狙いについては、「初回授業では生成AIの仕組みと課題点を実践的に学び、課題では生成AIの信頼性を見直し、出力を批判的に考察する力を養うことを目的としました」と説明している。