「浅野がみんなの意見を素直に聞ける子だったら」
大久保氏は「浅野に『お前は若いのだから、俺が担当している間は、初球からぶりぶり行けと。審判がストライクと言うのは、打ちなさいと言っているととらえてくれ。見逃すのはいつでもできる』と言った」と説明し、こう続けた。
「(浅野が)打席に行きます。ストライク来ます。見送る。そういう空気なんですよ。先輩がたの空気が。僕らが何を言おうが、近くにいる先輩の方が、はるかにいい意見になる。『お前のやりたいようにやったらいいんじゃないのか?』という空気が流れる。『お前は必ず打てるようになるよ』と。具体的な何かではなく、そういう空気なんです」
現在、野球解説者として活躍する大久保氏。巨人退団後、知り合いから「秋広どうですか?浅野どうですか?」と聞かれると、決まって「伸びない。素直さがない」と答えてきたという。
大久保氏は「浅野が僕の意見ではなく、みんなの意見を素直に聞ける子だったら」と切り出し、次のように持論を展開した。
「例えば、バントが下手だった子が努力で(コツを)つかんだら手放さない。(浅野は)スタメンで初めて出たときに、(グランドで)足をひっかけてずっこけた。センスがある人なら、(野球人生で)1度もなく終える。20年の現役生活で。(浅野は)不器用なんです。不器用なのに、自分のものを持っているのが伸びない最大の原因だと思う」
浅野はルーキーイヤーの23年は24試合に出場し、打率.250、1本塁打、2打点。24年は、40試合に出場して、打率.240、3本塁打、18打点をマークした。プロ3年目の今シーズンは、2軍で開幕を迎え、一時3軍に降格。5月7日に1軍に昇格し、1軍では4試合に出場して、打率.273、2本塁打、3打点を記録している。