ありがたがられたり、揶揄されたり...悲哀の備蓄米はどうやって集められた?その素性を追った

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あえて飼料用を作る農家にもコメ文化を守る目的がある

   数年前だが、畜産業界の人からこんな話を聞いたことがある。「農家がなかなか飼料用を作ってくれない」と。

   農家は人に食べてもらって「おいしい」と言ってもらいたいと思っている。それが農家のいきがいでもあるという。ただ、休耕田にさせないため、かつ食料自給率を上げるためにあえて飼料用米を作る農家もいるという。

   関東の生活協同組合は、飼料用のコメをエサの一部に混ぜて育てた「お米育ち豚」を店頭に並べている。食料自給率を上げることと、日本のコメ文化を守ることが目的だ。その豚の味は甘味があって消費者にも人気だ。

   備蓄米にも大切な役目がある。日本人が飢餓に陥ることもなく、5年間の役目を終えて飼料用に回ることもある。備蓄米と、それを提供する農家は尊敬されてもいいと思う。揶揄してはいけない。

(経済ジャーナリスト 加藤裕則)

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