識者の見解、NHK広報局の対応を聞くと
こうした取り上げられ方について、性的マイノリティーに関する情報を発信する一般社団法人「fair」代表理事の松岡宗嗣さんは17日、J-CASTニュースの取材に、「男性同士が親密になることを『危険』だと表現することは、同性愛嫌悪(ホモフォビア)に基づく差別や偏見と言えます。異性間では『危険』とは表現されないことからも明らかです」と説明した。
「男性同士が容姿を褒め合ったり『素敵だね』と言ったりすることは、恋愛でも友情でもまったく問題ないはずなのに、ただ親睦を深めることを性的・恋愛的な方向に結びつけて茶化すような演出がされてしまっていました」
松岡さんは、視聴者への影響も懸念している。特に自分の性のあり方に悩む子どもたちが、否定されたと感じてしまうのではないか。そして、同性愛を笑ったり危険視したりする認識を当事者以外の人に与えてしまうのではないかだ。
男性の同性愛を笑いものにしてしまうような偏見はまだ根深く残っていると感じた、と松岡さんは話す。教育や福祉に力を入れるNHK・Eテレは「性の多様性についても大切な情報を多く発信しているチャンネルだ」と評価する一方、こうした表現があったことは「すごく残念だ」とした。
NHK広報は18日、J-CASTニュースの取材に対し次のように回答した。
「ご指摘の投稿や予告映像につきましては、性的指向などに対する偏見や差別を助長する意図は全くありませんでしたが、誤解を招くおそれがあることから、投稿を削除するなどの対応をとりました。NHKでは、多様性を認め合う共生社会の実現を目指しており、引き続きこの方針に則って取り組んでまいります」