選挙になると、筆者は予想を頼まれる。社会科学では、ああでもないこうでもないと議論することに意義があると言う人がいるが、理系出身の筆者はその意見には賛同できない。理系学問の場合、主張が正しいかどうかは予測して正しかったかどうかで決めることが多い。役にも立たない議論よりは、正しい予測の方を社会は求めているはずだ。「大括りではほぼ想定内」、自公の低下を都ファと国民民主が拾う2025年6月10日付け北國新聞で、筆者の都議選予測が掲載されている。それと今回の都議選結果を書いておく。()内が6月10日付け筆者の予測だ。自民21(18)、都民ファースト31(29)、公明19(22)、共産14(18)、立民17(13)、生活ネットワーク1(1)、国民民主9(11)、参政3(0)、無所属12(12)。実は都議選は政党が多く、予測が難しいので、筆者は括りを大きくして、それを細分化している。自公40(40)、都ファ31(29)、立民・共産31(31)、国民民主9(11)、その他16(16)、大括りではほぼ想定内。その内訳で少しミスした。その論考に書いたが、小泉旋風は東京では吹かないで、自公の低下を都ファと国民民主が拾う、とした。6月10日掲載段階で、正直言って、参政党の大躍進はまったく予想できなかった。小泉旋風は化けの皮はがれたが...さて、参院選ではどうなるか。これまでの過去の傾向をみれば、直近の東京都議選は直後の国政選挙にかなり連動している。もっとも政治の一寸先は闇なので、一つの失言で大きく変わりうることもあるのは言うまでもない。小泉旋風は、マスコミが作り上げたので、有権者には化けの皮が剥がれているとみる。最近の小泉農水相のSNSをみると、食事をしながら電話するという、いかにもサラリーマンの「働いてます」感があり、「あざとい」投稿が目立つ。高級車の中で牛丼を食べる投稿も非難が多い。昨年の自民党総裁選の時の失態の記憶も呼び起こされているようだ。しかし、小泉旋風がそれほどでないとしても、参院選では、都議選の都ファのように、自公の落ちを拾う政党がない。都議選で大健闘した参政党らがどこまで受け皿になるのか、不透明だ。小泉旋風はそれほどでもないとなると、参院選では、自公は苦しい戦いになるが大敗はない、という微妙な結果か、国民民主や参政党などが伸びるのか、二択かもしれない。++ 高橋洋一プロフィール高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。
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