プロボクシングのWBC世界ライト級王者シャクール・スティーブンソン(米国、28)が、スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、32)のパウンド・フォー・パウンド(PFP=異なる階級の選手を対比)ランキングに疑問を投げかけた。
「井上尚弥はPFPのトップ3リストに入らない」
米ボクシング専門メディア「ボクシングニュース24」(ウェブ版)が、2025年7月9日に報じた。
世界4階級を制覇し、そのうち2階級で4団体の王座を統一した井上。海外での評価は非常に高く、現在、海外のボクシング専門メディアが作成する複数のPFPランキングでトップ3に入っている。
米国の歴史と権威ある専門誌「ザ・リング」のPFPランキングでは、井上は2位に入っている。1位は、ヘビー級3団体統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ、38)で、3位は、WBA世界スーパーウエルター級王者テレンス・クロフォード(米国、37)がランクしている。
「ボクシングニュース24」の記事によると、スティーブンソンは、「23年(7月)のスティーブン・フルトンとの一戦を除けば、井上はその後、『無名選手』としか戦っていないので、井上尚弥はパウンド・フォー・パウンドのトップ3リストに入らない」と語ったという。
さらに、こう続けた。
「スティーブンソンの指摘は的を射ている」
「私がパウンド・フォー・パウンドのトップを選ぶなら、クロフォードを選ぶ。(ライトヘビー級王者のディミトリー)ビボルも好きだ。人々は彼に十分な評価を与えていないと思う。彼はボクシング界で最も有名な2人の選手を相手に、両方の試合で圧倒した」
このようなスティーブンソンの意見に対して、「ボクシングニュース24」は、「スティーブンソンの指摘は的を射ている」とし、「井上は対戦相手のレベルが低いため、トップ3に入るべきではない。井上をリストに載せること自体が過剰な評価だ。トップ10は、キャリアにリスクを冒す選手のためのものだ」と主張した。
井上はフルトン戦以降、5試合を行い、すべてKO、TKOで勝利している。
スティーブンソンは、フルトン戦以降の対戦相手の「質」を問題視しているが、対戦相手5人のうち、マーロン・タパレス(フィリピン)、ルイス・ネリ(メキシコ)、テレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)の3人が、現役もしくは元世界王者だ。タパレスはWBA・IBF世界スーパーバンタム級の王者だった。
また、スティーブンソンは、自身をPFPの9位か10位に入れるべきだと主張したという。
スティーブンソンは、16年リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得してプロ入りした。プロでは、スーパーフェザー級で2団体の王座を統一し、現在はライト級のベルトを保持している。プロ戦績は23勝(11KO)無敗。