「イップスになると、手首が固まってボールが投げられなくなる」
そして、こう続けた。
「イップスになると、手首が固まってボールが投げられなくなる。ボールの重さが分からない。ピッチングも、自分でどうやっているのか、身のこなしが分からない。そこまでなったらイップス。急に『フォアボールを出したらいけない』と加減してしまう。躊躇して萎縮しているぐらいだったらイップスじゃない」
野球解説者として阪神時代から藤浪の投球を見てきた岩本氏は、「日米で同じような苦しみ方をしていた」とし、自身の経験を踏まえて、藤浪にアドバイスを送った。
「僕は僕の母親の発言で心が晴れて、パフォーマンスが変わった。僕は萎縮してノミの心臓、ちっちゃいんだと。母親が言ったのは、『あんたは慎重派なんですよ』。この言葉に救われた。今、藤浪君に与えたいのは、『藤浪君、あなたは誰よりも繊細で慎重派で今まで困っていたんですよ』と言いたい」
さらに、今回の移籍が「これがラストチャンス」と指摘し、次のように期待を寄せた。
「これをものにしたら、この先、5年以上一線で戦える。それをものにすべくチャンスがやってきた。周りが驚くくらい、大胆すぎるくらいの大暴れ投球でいいんじゃないかな。真ん中でいい。思い切り腕を振ったら勝手にシュート軌道でバットをへし折る。そんな躍動する藤浪晋太郎が見たい」
藤浪は、阪神時代、ルーキーイヤーの13年から3年連続で2桁勝利をマークし、エースとして活躍した。日本での通算成績は、57勝54敗、11ホールド、防御率3.41。