第107回全国高等学校野球選手権大会(2025年8月5日開幕・甲子園球場)に出場している広陵高校(広島)の部内での暴力事案が取り沙汰される中、同校の中井哲之監督による過去の発言がインターネット上で波紋を広げている。部員を「家族」とするような考えをYouTube動画で語っていた。「人として成長して、優しさとか強さを...」波紋を広げたのは、WoodStock(東京都豊島区)が運営するYouTubeチャンネル「高校野球ドットコム」が24年6月9日に公開した動画での中井監督の発言だ。動画のタイトルは「部員150人は全員家族。信念貫き選手を守る。広陵・中井哲之監督の半生と在り方」。中井監督は指導哲学などを語り、多数のOBが会いに来るとして喜ぶ姿をみせたほか、部員について「家族だと思ってる」と胸の内を明かす場面もあった。続けて「彼らにお父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、お姉ちゃんもお兄ちゃんも妹も弟もおるとしたら、みんなが喜ぶような自分になれよって言うんですよ」と考えを伝え、下記のように説明した。「それは甲子園行ったから喜ぶだけじゃないですよね、きっと。人として成長して、優しさとか強さを持ってて初めて自分の周りの人が自分を喜んでくれる。その中心が野球であってほしいと思ってて」例え甲子園出場しなくてもポジションが補欠だとしても胸を張って野球に打ち込む部員や、それを理解するような親を「かっこいい」と評価しているという。「広陵のやり方っていうか、中井の在り方ですよね」そのうえで、中井監督は次のような言葉で結んでいる。「全国から毎年50人近い部員が来てくれて、ありがたいあまりですよね。自分の近くの学校に行けばレギュラーになれるだろうし。3年間、一生懸命やれば。ベンチも入れるだろうし。覚悟があってここに来てるから。大切にしたいし、間違ってることは間違ってるって本当に叱ってやりたいし、野球が上手い下手じゃなくて、頑張ってる子には『よう頑張るの、カッコええね』って声かけてるのが広陵のやり方っていうか、中井の在り方ですよね」広陵高校をめぐっては同校野球部員が上級生に殴られるなどの暴力を受けたとするSNS情報が拡散し、同校は6日に公式サイトで、1月に当時の1年生に対して2年生4人が「暴力を伴う不適切な行為」をしたと認め、経緯説明と謝罪をした。騒ぎとなるも7日には甲子園で初戦に臨み、旭川志峯を3対1で下した。一方で広陵高校は8日、元部員が23年に監督やコーチ、一部部員から暴力を受けたとする情報にも言及。学校側の調査では事実確認できなかったものの、第三者委員会を設置して調査を進めているとした。一連を受けて先の動画コメント欄には、「何が全員家族だよ」「家族って言うなら守れよ」「そんなに選手がいるなら加害者を出場停止にすべきだった」などと厳しい声が殺到。中井監督が部員を「家族だと思ってる」と発言した場面はXでも拡散され、波紋を広げている。
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