お盆休みと盆踊り、定着したのは「戦後」だった 「日本の心」演歌はもともと全く別もの→昭和に今の形へ

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   伝統文化にもとづいたならわしを守っていくのは大事なことだ。

   しかし、昔から伝わる風習や文化だと思っていたものが、意外にも戦後の都市化の中で定着したものだった、という例は多い。

  • 戦後、盆踊りは生活再建の無害な娯楽としてGHQは奨励した
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  • お盆休みの帰省ラッシュ、Uターンラッシュで高速道路は大渋滞
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「旧盆」は実は新しい盆

   いまちょうど皆さんが取っている「お盆休み」。これを8月に取る習慣も、実は戦後に定着したものである。

   お盆はもともと旧暦7月15日を中日として行われていたが、明治6(1873)年に太陽暦が採用され、新暦に移行した。

   ところが、新暦の7月15日は農村部で最も農作業が忙しい時期と重なってしまう。そのため、現在でも農村部を中心に、お盆を1か月遅れで行うことが多い。

   ちなみに、8月に行うお盆を「旧盆」と呼ぶことがあるが、旧暦に則ったお盆は7月であるため、正確には「8月盆」や「月遅れ盆」と呼ぶのが適切だ。

   お盆休みに目を移すと、明治5(1872)年に学制が公布され、日本の学校制度が整備された。明治14(1881)年には文部省(現在の文部科学省)が小学校教則綱領で「夏季・冬季休業日」を定め、7月末から8月が夏休みとなった。

   さらに戦後、高度経済成長期以降の企業文化の形成期に、夏期一斉休業が導入された。この期間をお盆に合わせることで、都市部に移住した人々が8月中旬に一斉に帰省する流れが生まれた。

   鉄道や観光業界が「夏の帰省ラッシュ」を前提にダイヤや割引制度を整えたことも、この流れを後押しした。

   また、昭和20(1945)年8月15日の玉音放送で太平洋戦争が終わったことも重要である。月遅れのお盆が戦争犠牲者を慰霊する日と重なったことは、大きな要因のひとつだろう。

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