石破リコール、もし過半数取れずに失敗したらの懸念
どうやら、歴史、戦後認識などをからめた「メッセージ」は、政治家・石破茂の得意科目のようだ。敗戦記念日の「戦後80年メッセージ」を石破首相本人が練っているはずだ。閣議決定を要する「80年談話」とは別に、式典あいさつのなかで、国民に届くメッセージを考えているとされる。
一方で、日米関税協議をひとまず合意にこぎつけたり、8月上旬のコメ増産への転換表明もおおむね評価されたりで、政策上では、石破政権への逆風はおさまったかに見える。
8月の最終週に予定される自民党の「参院選の総括」後には、森山幹事長の辞任が予想され、石破氏にも大きな転機が訪れるとされる。ただし、これと同時並行で進むと見られる「総裁選の前倒し」については、自民党議員と都道府県支部の過半数が必要になるが、記名投票になった場合に事実上の「石破リコール」となるため、もし倒閣に失敗した場合を考えると「危険な賭け」になる。盆明けの週に、「石破支持率上昇」の世論調査が相次いだ場合に、「前倒し過半数」に影響が出て来る可能性がある。
さらに石破首相は、4日の衆院予算委員会の野田佳彦・立憲民主党代表との質疑の中で、政治資金改革問題に関連して、企業団体献金の受け皿を「政党本部と都道府県にひとつの政治団体に限定する」案を軸に協議すると話し合った。当時は、「党内手続きをしていない」などと自民党内から反発を呼んだが、有権者側からは、「選挙敗北を反省して動いた、石破・野田両首脳に、政治改革に動かない自民党」との見方も出ていた。
「石破降ろし」に動く自民党内では、派閥単位の動きも目立ち、「派閥は解消したはずなのに」との有権者の目もまた気になる。
(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)