中国の不動産危機がインバウンド政策見直しを迫る?
恒大破綻による資産価値の下落は、中国の富裕層および中間層上位の家計に影響を与える。
この層は日本で高額消費を行う主要な観光客層であるため、訪日客数が増えても消費単価が低下する可能性がある。
これまで「爆買い」を行っていた旅行者の行動変化も想定されるし、中国国内で金融引き締めや送金規制が強化されれば、旅行資金そのものが制約を受け、観光消費全体の伸びを抑える要因となり得る。
また、中国経済の不安はアジア域内の株式・社債市場に波及し、日本の資本市場にも影響する可能性が大きい。
さらに、不動産分野では訪日観光客増加を前提とした開発計画の中に中国資本が関与する案件も多く、計画の見直しや中止に追い込まれる恐れもある。
増加する中国人観光客の陰で、香港市場から姿を消した恒大の上場廃止は、日本のインバウンド戦略の前提を揺るがす可能性があるのだ。