人材育成には相当な時間を要する
とはいえ、ガバメントハンター制度は全国的にはまだ限定的な施策にとどまっている。
たとえば山形県では、住民から制度導入の要望があったものの、2024年7月の県広聴では「他県における活用状況等を調査しながら研究していきたいと考えているところ」という回答にとどまっている。
現在、多くの自治体では依然として猟友会に依存した対応が主流だ。県職員が現地に赴いたとしても、実務対応は難しく、現場との連携不足や判断の遅れがしばしば問題となっている。
制度の全国展開には複数の課題がある。その一つが、高い人材要件である。クマ対策に用いられるライフル銃の免許は、散弾銃の所持歴が10年以上なければ取得できない。
さらに、野生動物の生態に関する知識、地域住民とのコミュニケーション能力、法制度への理解など、幅広いスキルが求められ、人材育成には相当な時間を要する。
加えて、その育成にも財政支援が不可欠であり、自治体単独での対応には限界がある。
こうした課題をどう乗り越えるかが、制度を広く展開させる鍵となるだろう。