北朝鮮のGPS妨害、4か月半で「20以上の国・地域の約4400機の民間航空機に影響」
なお、ADS-Bを利用する類似のサービス「フライトアウェア」でも、北朝鮮上空を通過する経路が表示されており、この日のNH232便が出していたADS-Bに異常があった可能性もある。
異常の原因のひとつとして考えられるのが、北朝鮮による妨害だ。国連の専門機関、国際民間航空機関(ICAO)は25年4月に開いた理事会で、24年10月2日以降、GNSSに対して継続的に発生している電波妨害を「深刻な懸念をもって認識した」とする決定を発表している。決定によると、妨害が起きているのは、欧州から日本に向かう飛行機も通過する仁川飛行情報区(FIR)で、
「これらの妨害事件は朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)に起因しており、過去の理事会決定にもかかわらず継続している」
と、北朝鮮を名指ししている。
この決定は、韓国政府の問題提起を受ける形で行われた。韓国外務省の発表によると、「北朝鮮のGPS無線妨害活動は24年10月2日から25年2月14日にかけて、20以上の国・地域の約4400機の民間航空機に影響を与えた」という。
では、なぜフライトレーダー24では、なぜ北朝鮮上空を飛んでいるように表示されたのか。GPSなどに障害は起きていなかったのか。この点については、ANAは
「Flightradar24上での表示、ならびに不具合の理由については、申し訳ございませんがわかりかねます」
とのみ回答した。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)