「ホームドアから離れて!」電車との間に乗客が... 近鉄が鶴橋駅に設置したドア、その間隔が広すぎる理由とは

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   大阪市内の近鉄大阪線・鶴橋駅で、ホームドアが一部で設置されたが、電車との間隔が通常より広いため、乗客が間に留まってしまうケースが、ネット上で指摘されている。

   その広さが原因で、点字ブロックが電車との間にも置かれ、ドアの外から階段に回れなくなったりしている。なぜこんなホームドアになったのか。近畿日本鉄道の広報部に経緯を取材した。

  • ホームドアが開いたとき(近鉄のニュースリリースから)
    ホームドアが開いたとき(近鉄のニュースリリースから)
  • ホームドアが閉じたとき(近鉄のニュースリリースから)
    ホームドアが閉じたとき(近鉄のニュースリリースから)
  • ホームドアが開いたとき(近鉄のニュースリリースから)
  • ホームドアが閉じたとき(近鉄のニュースリリースから)

「降りた時、ホームドアってわからんよ笑」

   電車が鶴橋駅に入って来て、扉が開くと、大勢の乗客が降りてくる。そのうち、中年女性は、電車とホームドアの間に立ってスマホで電話を始めた。

   ドアとの間隔が広いため、少し先の扉から降りた乗客がその間を歩いて来る。別の女性は、方向を間違えたためか、またその間を戻って行った。

   車掌が乗務員室から各ドアをチェックするが、なかなか出発できない。

「ホームドアから離れてお待ち下さい。扉が閉まります」

   駅のアナウンスで呼びかけると、ドアとの間にいた中年女性は、電車から少し離れた。それでも、まだドアとの間にいて、スマホをいじり始める。また、「ホームドアから離れて下さい」と再びアナウンスで呼びかけて......。

   こんな状況を撮った動画は、2025年9月21日にX上で投稿された。

   この日は、鶴橋駅の3番線ホームで、新しく設置されたホームドアの使用が始まった。近鉄のニュースリリースによると、ドアの開口部が大きい「大開口ホーム柵」タイプになる。同駅では、3月に2番線でロープのドアを上げ下げする「昇降ロープ式」タイプのホームドアを設置しており、26年 4 月までにすべてのホームにどちらかのドアを整備する。

   ただ、大開口ホーム柵については、電車とホームドアの間の空間が通常より広いため、乗客が電車との間に留まってしまい、駅員らに注意されているとの指摘がX上で相次いでいる。こうしたドアへの疑問も出ており、「降りた時、ホームドアってわからんよ笑」「どこを歩いていいんだか迷う」「安全安全の過剰な推し進め」といった声が書き込まれていた。

「車両によって扉の位置が違い、車イスなどの安全考えた」

   今回設置したホームドアについて、電車との間を通常より広くしたとすれば、一体なぜなのだろうか。

   この点について、近鉄の広報部は9月22日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。

「乗り入れる特急や阪神の車両によって扉の位置が違うため、大開口ホーム柵を導入することになりました。電車とホームドアの間は、通常は1メートルぐらいですが、車イスやシニアカーが、横に移動しても問題なく乗降できないといけません。研究所の試験で確認したところ、1.5メートル以上離さないと安全確認できないことが分かりました。2番線のような昇降ロープ式のホームドアなら、1.5メートルなくてもよかったのですが、支柱が構造上立てられず設置できませんでした」

   電車とホームドアの間には、点字ブロックも置かれており、これは電車に乗るまで横に移動することを考慮したとした。

   電車とドアの間に留まる乗客が多くいるかどうかについては、こう話した。

「ホームと勘違いしたというケースは聞いていません。しかし、不慣れなお客様がいて、間に留まることもあるかもしれません。ホームに監視員を配置しており、注意喚起することでホームドアを浸透させていきたいと思います。階段に回れないのは形状から仕方がありませんが、お客様にご不便をかけているのは申し訳ないです」

   近鉄では、ホームドアを巡る事故やトラブルは聞いておらず、クレームも特に入っていないという。今後は、4番線についても、26年4月に電車とドアの間を広くした大開口ホーム柵を設置するほか、近鉄名古屋駅でも、導入していく予定だ。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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