AIを活用、食糧安全保障を強化...良いことばかり言っているが
高市早苗氏は9月19日の出馬会見で、国際情勢を背景に食料安全保障の確立を強く訴えた。稲作については、田植えではなく種をまく直播という手法が秋田で実践されていることを紹介。人工衛星や国産ドローン、AIなども使って効率的な農業を推し進めるとした。
林芳正氏は18日の会見で「需要に応じたコメ生産による安定供給の確立」と訴えながらも、「麦や大豆を含めて、いま、党でいろいろ議論していただいている。これをしっかり確立して、食料安全保障を強化したい」と述べ、大筋を党の方針に任せる考えだ。
小林鷹之氏は16日の会見で、小麦や大豆などの穀物類の自給率が低いことを問題視し、コメに対しても国が支援していく姿勢を示した。また、気候変動で農産物の収穫量が変動していることを挙げ、品種改良にも国が後押ししていくという。
各候補は、農家の所得向上を口にしたり、生産者、消費者の双方にとっても適正な価格形成を訴えたりと、そつのない演説が目立つ。しかし、令和のコメ騒動は、気候変動やグローバル化もあってこれまでの農政が限界に来ていることを意味している。その意味でも今回の自民党総裁選は、日本のコメを考える絶好の機会になるはずだ。
(経済ジャーナリスト 加藤裕則)