赤沢亮正経済再生担当相が2025年10月1日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見し、自らが携わった日米関税交渉について振り返った。日米に認識の齟齬があるという見方は否定する一方で、国民に合意内容について理解を求め続けることが必要だと指摘した。赤沢氏はX(旧ツイッター)をよく見る、いわゆる「ツイ廃」としても知られており、合意に至るまでにSNSで寄せられた『大変心温まる応援』についても皮肉交じりに言及。記者からの声かけに反応する形で、飛行機のマイルをめぐる批判に反論できなかったことが「つらかった」とも話した。トランプ氏は「テレビで見ている印象より、はるかに丁寧にディールをやる」赤沢氏は10回にわたって渡米し、トランプ大統領と交渉する場面もあった。赤沢氏のトランプ評は、「ディールをされる時は大変タフで、私からすると圧倒されるような思いだったが、日本が『1つ聞いてもらえますか』と言い続ける限り、必ず全部聞いてくださって、丁寧に対応してくださった」というもの。交渉を振り返って「後味は悪くないというか、非常にいい交渉ができたなと、私自身は感謝をしているし、敬意を払っている」などと説明し、トランプ氏の「テレビの印象」との違いも指摘した。「テレビで見ている印象より、はるかに丁寧にディールをやる。相手の立場にも配慮する。相手がものを言い続けている限りは全部聞く」「ホワイトハウスの芝生にテントを張って寝泊まりしろ」一方で、合意内容についての日米間の認識の齟齬を懸念する声もある。赤沢氏は齟齬を否定した上で、どんな外交交渉でも「自分の国は損した、負けた、不平等だ、という声は、わーっと起きる」ため、現在の状況は「別に驚くことではない」とした。さらに、SNS上の厳しい声が届いていたことも明かした。「私自身、7回渡米して効果が出なかった時は、飛行機代やホテル代が税金から出すのが惜しいからホワイトハウスの芝生にテントを張って寝泊まりしろ、と言われたりしていた。SNSでそういう『大変心温まる応援』をいただいて(交渉を)やっていた」さらに、交渉中は説明ができなかったが、「今、一応の合意になったので、これはしっかり説明をしていきたい」。その上で「それを極力、理解している国民がマジョリティー(多数派)になるようにするのは政府の責任だと自覚している。しっかりやりたい」と話した。「アメリカに行くときは政府専用機でしょ?」→首を横に振る質疑応答が終わると、飛行機代の話題を念頭に置いているのか、最前列の記者から「アメリカに行くときは政府専用機でしょ?」という声が飛んだ。会場を出ようとしていた赤沢氏は首を横に振って否定。立ち止まって次のように話した。「一番多かったSNSの批判が、『税金でマイルをためやがって』。大臣、副大臣、政務官は、出張してもマイルは1マイルもたまらない。これ、むしろ記事に全社でしてほしいぐらい。それも反論できずにつらかった」赤沢氏が米国行きに利用していたのは、全日空(ANA)のワシントン便。ファーストクラスでマイルをためているという、事実に基づかない批判もあり、赤沢氏は7月29日配信の「魚屋のおっチャンネル」で、「ワシントン便って便数が少ないせいか、ANAが投入してる機材(ボーイング787型機)はファーストないの。フラット(フルフラットシート)なんだけど、(身を縮めながら)こういう感じで、ひたすらビジネスクラス」などと反論していた。(J-CASTニュース編集委員兼副編集長工藤博司)
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