全国各地で冬眠前のクマの出没が相次ぐ中、秋田県大仙市内では、散歩中の女性(82)が背後からツキノワグマに襲われるという衝撃的な出来事があった。そんな女性の窮地を救ったのが、後ろから来た車のドライバーだった。防犯カメラの映像がその一部始終を伝えており、ネット上で賞賛の声が相次いでいる。線路脇の茂みの中では、クマがまだ徘徊する姿が...体長約80センチの黒いクマが、潜んでいた線路脇の茂みから姿を現し、散歩する女性の後を追うように道路の端を走って行く。別の防犯カメラでは、女性が歩いていると、猛スピードでクマが忍び寄る姿が見える。クマが道路に出て女性に近づき、女性がその気配に気づいて振り向いた瞬間だった。「うわぁ~~!」クマが正面に回り、飛びかかって来たため、女性は悲鳴を上げる。クマは、女性の顔を引っかいたが、女性が後ろに避けたため、地面にうつぶせになる。クマはさらに、後ろに逃げる女性を追いかけ、前に回ってまた飛びかかろうとした。女性は、「わぁ~~!」と大声を上げる。そして、顔を両手で押さえながら、とっさに向きを変えたため、クマはそのまま茂みの方に逃げた。「クマ、クマ、クマ、クマ...」女性は、道路の端から手を振って、後ろから来る車に大声を出す。すると、車が女性の前で止まり、ドライバーの男性が助手席の窓越しに女性と何か話している。線路脇の茂みの中では、クマがまだ徘徊する姿が見えた。「乗れ!乗れ!」男性は、大声で女性に呼びかける。女性が助手席に乗ると、車はそのまま現場を去った。こうした防犯カメラの映像は、女性がクマに襲われた2025年10月8日の各テレビニュースで流された。ドライバーの男性は、女性を近くのコンビニまで車に乗せ、店員に支援を求めた。「ドライバーさんの素早い行動に感動」「冷静に避難させた」コンビニの防犯カメラ映像も、ニュースで取り上げられている。それを見ると、車を降りた女性は、ハンカチで出血した顔を押さえていた。そばにはドライバーの男性がおり、その後、男性から依頼を受けた店員が119番通報して、救急車が駆け付けていた。こうした映像は、ネット上で大きな話題になり、まず女性について、「とっさの身のこなしが凄い」「あの瞬間の判断力と行動力、普通できない」と驚く声が上がった。また、ドライバーの男性に対しても、賞賛の声が相次いでおり、「ドライバーさんの素早い行動に感動」「冷静に避難させたの尊敬しかない」「人間の温かさを見た気がする」などと書き込まれている。報道によると、クマが女性を襲ったのは、10月8日の午前7時前で、JR羽後長野駅近くの住宅や商業施設が並ぶ市道上での信じられない光景だった。クマが人を追って襲うのは珍しいといい、識者は、逃げ場の少ない市街地でクマがパニック状態になり、興奮して人を襲ったのではないかとの見方を示したという。秋田県警「目撃した状況をお聞きしたい」今回の出来事について、秋田県警の大仙署が9日にJ-CASTニュースの取材に答えたところでは、女性は、「クマが1回飛びかかった後に逃げた」といった内容を話し、2回目はなかったとの認識を示したという。ドライバーの男性に対しては、「後ろから来た車が止まってくれた」と感謝の意を示していた。「ドライバーの方は、通報の後に去られたので、コンタクトは取れていません。目撃した状況をお聞きしたいと考えており、女性を助けてくれたこの方を探しています」女性は、右目の下を引っかかれ、何針か縫う手術をしたが、傷は浅く、目は見えるといい、軽傷だとしている。なお、通報後に、同じ近辺でクマの目撃情報が数件来ていたが、その後はないという。猟友会などからは、捕獲の報告は受けておらず、クマがその後どこにいるのかは不明だ。(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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