日本人だけでは今の社会活動を維持できなくなる
モスク建設や拡張が増加している背景には、日本に在留するイスラム教徒(ムスリム)人口の増加がある。
1984年に約5000人ほどだった日本のムスリム人口は、2010年に約10万人、そして2023年には約29万4000人に達している(前出・多民族多世代社会研究所「日本のムスリム人口2024年」より)。
この背景には、在留外国人数の増加が大きく影響している。
出入国在留管理庁によれば、2025年6月末時点の在留外国人数は2024年末から約10%増加し、395万6619人に達しているという。
また、厚生労働省によれば、2024年10月時点で日本の外国人労働者数は230万人を超え、前年より12.4%増加して過去最大となっている。
特に建設・製造・サービス業、さらには介護や物流など、日本人の担い手が減少する現場で、外国人労働者は欠かせない存在になっている。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、生産年齢人口は2025年の7310万人から2032年、2043年、2062年にはそれぞれ7000万人、6000万人、5000万人を割り込む見込みで、日本人だけでは今の社会活動を維持できないことが明らかになっている。
在留外国人はもはや「一時的な存在」ではなく、隣人であり、同僚であり、社会の一員である。
その彼らの信仰や文化を理解することは、対立を避けるだけでなく、共に暮らすための基盤を築く行為でもある。
無知や恐れではなく、理解と共生の姿勢こそが、将来の安心と安定を生み出すのではないだろうか。