「『連立の時代』の終焉」目指した高市早苗氏、30年後に連立協議奔走の皮肉

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   自民党・高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表は2025年10月15日に会談を行い、連立政権に向けた政策協議を行うことで合意した。翌16日、早くも自民・維新両党による政策協議がスタートしている。

   26年にわたる公明党との連立の解消が決まり、新たな連立を模索する自民党。しかし、高市氏は30年前の著書で、「連立政治」を強く批判していた。

  • 日本維新の会との会談後に取材に応じる自民党の高市早苗総裁(写真は自民党ウェブサイトから)
    日本維新の会との会談後に取材に応じる自民党の高市早苗総裁(写真は自民党ウェブサイトから)
  • 高市早苗総裁の30年前の著書は、国立国会図書館デジタルコレクションで読める
    高市早苗総裁の30年前の著書は、国立国会図書館デジタルコレクションで読める
  • 日本維新の会との会談後に取材に応じる自民党の高市早苗総裁(写真は自民党ウェブサイトから)
  • 高市早苗総裁の30年前の著書は、国立国会図書館デジタルコレクションで読める

「連立政権がこれ以上続けば、日本はダメになる」

   高市氏が連立政権に関する持論をつづっていたのは、1995年8月に出版された「高市早苗のぶっとび永田町日記』(サンドケー出版局)だ。当時の高市氏は新進党の結党メンバーで、翌96年末に自民党へ入党している。

   書籍の最終章「第五章 願 一度きりの人生だから......元気な日本創造宣言!」の末尾にあたるトピックス「『連立の時代』の終焉を目指す」に、当時の高市氏の連立をめぐる政治観が記されている。

   「連立政権がこれ以上続けば、日本はダメになる」との段落では、93年の衆院選で自民党の議席が過半数を大きく割り込んだことで発足した自由民主党・日本社会党(のちの社会民主党)・新党さきがけによる「自社さ連立政権」をとりあげ、連立政治の功罪を論じた。

「広範囲の国民が与党の支持者としての立場を得た」評価も

   高市氏は、「『万年野党』と呼ばれた政党が、連立を組むことにより与党となったことで、大きなメリットが生まれた」とし、連立による一定の成果も指摘した。

   「これまでは何でも自民党に反対し代案も出さず無責任な反対論を唱えていた党の姿勢がずいぶん変わってきたように思う」とし、長らく第二党であった社会党が政権についたことにより、その主張が「すっかり現実路線に転換した」という。

   「多くの政党が政権に参加することで、かなり広範囲の国民が与党の支持者としての立場を得た」、「若手議員にも活躍の場を与える脱年功序列型の人事が進んだ」との点もメリットに挙げた。

   その一方で、「私は、連立政権という状態がこれ以上長く続いていては、日本はダメになってしまうと思わずにはいられない」と連立の長期化をめぐる懸念を示している。

「結局は選挙公約が反故にされ、選挙時の国民の願いが正しく反映されない」

   複数政党の意見調整に時間がかかることから、所信表明演説では結論を避けた曖昧な表現が目立ったとし、こうした点を「一番の問題点」と指摘。

 

   「有権者は候補者や政党の政策に一票を投じ、その実現を夢見ているのに、政権を維持するためだけに各党の政策を抑制してしまっては、民主主義というものは崩壊する」と断じた。

 

   「考え方の違う政党が無理な連立を組むことによって結局は選挙公約が反故にされ、選挙時の国民の願いが正しく反映されないという結果になるのだ」とし、民意が反映されにくくなる危険性を訴えている。

 

   さらに高市氏は「連立状態により予算に民意が反映されにくい」とも主張。連立政権は「これまで別々の道を歩んでいた各党の寄せ集め」だとし、「結局は大蔵省主導型の予算が、そのまま国会を通過してしまったと言っても過言ではない」と嘆いている。

「全力を挙げてこの国の諸課題に取り組める環境を一日も早く作りたい」

   「整いつつある『責任政党』出現への下地」との段落では、「『野合』である限りは、『国家国民のためにベストだ』と思える政策立案を力強く進めることはできない」とし、「もともとの考えの違うグループと妥協点を探すうちに時間が経ち、内容も骨抜きになって政策効果は薄れてしまう」と主張。

   こうした問題の解決には、「国民の信任を受けた党が妥協に走らず、責任を持って政権を担当していく体制が必要なのだ」と述べている。

   高市氏は自身の将来について、「堂々と政策を訴え、党と一体化して、全力を挙げてこの国の諸課題に取り組める環境を一日も早く作りたい」とつづっていた。

   30年を経て、連立協議を進める側となった今、かつての理想と現実の距離をどう埋めるのかが問われる局面だ。

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