青森市にある「青森県営浅虫水族館」が2025年9月末からXで、館内で展示していた「持ち出し禁止」の絵本が来館者に持ち去られ、紛失したとして返却を呼びかけている。本を持ち去ったのが2歳ほどの幼児だったこともあり、同館はあくまでも運営側の落ち度だと強調。J-CASTニュースの取材に対しても「悪気がなく持っていかれたお客様に対しては怒っておりません」と説明し、詳しい経緯を明かした。「当館の不手際と考えております」浅虫水族館は9月25日にXで、2階壁面の棚に置いていた持ち出し禁止の絵本「きみのひかり、ぼくのひかり」(著・ぽるかめぐみさん)が紛失したと明かしていた。「9/24にご来館されたお子様連れの保護者様へ」として、下記のように返却を呼びかけている。「監視カメラを確認したところ、小さなお子様が持っていかれていたので、悪気が無いことは確定しております。次回ご来館いただいた際で大丈夫ですので、受付に戻していただけると助かります。冊子が戻りましたら、今後は紐を付けるなど持ち出し禁止が分かりやすい配架を心がけたいと思います」Xで広く注目される中、26日にも補足情報を伝えている。本を取ったのは2歳ほどの幼児だったといい、「保護者様もその場にいらっしゃいましたが、他にも数名お子様がおり、そちらにも気を配られている中での出来事でしたので、持ち出し禁止のシール(編注:本の表紙に張られていた)は認識できていない雰囲気でした」と理解を示した。本の最終ページには同館のハンコを押してあったという一方、「紐を付けておらず、持ち出し禁止ということが分かりづらかったので、保護者様が認識できなかったことは仕方が無いことで、当館の不手際と考えております」と見解を述べた。返却は、着払いの郵送でも構わないという。10月9日には、一連が本の作者に伝わったことで、厚意により、改めて1冊寄付されたと報告。「今後は紐をつけて持ち出し禁止がわかりやすい管理をしていく」と対応を説明している。「見つかることを待つのみ」、実は非売品紛失した本の経過について、浅虫水族館の担当者は19日にJ-CASTニュースの取材に応じ、「現時点で返ってきておりません」と答えた。監視カメラの映像では相手の退館までを確認しており、途中で死角を挟んだため最後まで本を携帯していたかは確定できていないものの、館内を捜しても見つからなかったという。ただ、先の投稿でも伝えたように、「今回の事案は当館が『持ち出し禁止』という旨がわかりづらい配架をしてしまったことが原因となりますので、悪気がなく持っていかれたお客様に対しては怒っておりません」と受け止めている。警察には相談しておらず、今後の対応は「見つかることを待つのみ」。過去にも同様の事案はあったとしながら、「複製可能なものであったため特に問題はありませんでした」としている。しかし、実は「きみのひかり、ぼくのひかり」は自費出版された「非売品」だったとのこと。中学1年生で物語てがけた、作者の反応は同館は、今回の取材に際して「きみのひかり、ぼくのひかり」の作者本人・家族とも連絡を取ったとしたうえで本の内容を伝えた。25年2月1日発行で、作者本人の希望により、現在までに約120館、日本全国の水族館などの施設に寄付を進めているという。浅虫水族館には9月20日から設置している。A5サイズで全16ページカラー、対象は子どもから大人までで、「当時、中学1年生だった作者が科学的な観察・実験をもとにファンタジーを交えて、発光生物の魅力について紹介するオリジナルの物語をつくりました。なぜか光ることができないホタルイカが登場するところから物語は始まります」──。Xでは、返却がないことへの心配も少なからず寄せられている。しかし同館によると、作者は、「『もしかすると、絵本のことを気に入ってくださって、持って行かれたのかもしれない』とも思っており、もし気に入ってくださったとしたら、うれしく思います」「現在、全国の水族館に、絵本の寄付を進めているところですので、よろしければ、水族館に足を運んでいただけたらありがたい」と温かな反応だという。浅虫水族館としても、相手に悪気はなかったものとし、運営側の不手際だと繰り返し訴えている状況だ。とはいえ本の返却は待ち望んでおり、下記のように呼びかけている。「もしお客様のご自宅で見つかることがあれば、封筒表面に『絵本在中』などと記載いただき、着払いで差出人も記載しなくても大丈夫ですので返却いただけると助かります。このことについては、SNSで追加発信を予定しております」
記事に戻る