解散に伴う静岡県伊東市議会選挙の投票結果が判明し、田久保真紀市長(55)が失職するのは確実だと報じられている。学歴詐称問題で不信任決議に賛成した市議18人全員が当選したからだ。市議会臨時会で不信任決議案が改めて提出され、可決されれば田久保市長は失職する。その場合、出直し市長選が行われるが、田久保市長が再選される目はあるのだろうか。不信任に賛成しなかった4人、有効投票の約1割を集める「もうちょっと政策論争が出来ればよかった」。2025年10月19日の投開票結果を受けて、田久保市長は翌20日朝、報道陣の取材に応じ、こう感想を述べた。市議選の期間中、田久保市長は、反対してきたメガソーラー計画や新図書館構想が復活するかもしれないとX上で危機感を訴え、自らを支持する無所属新人の片桐基至氏(44)らの支援に動いた。片桐氏は、「なぜそんなバカなことをするんだ?」とよく聞かれるというが、街頭演説では、田久保市長が進める改革を止めれば、旧態依然とした体制に戻ってしまうと訴え続けた。再度不信任決議案が出れば、反対する意向を示し、今回の市議選では、9番目の得票を集めて初当選した。報道機関が共同で行ったアンケートでは、30人の候補のうち、不信任に賛成としなかったのは4人おり、当選した片桐氏以外は態度を明確にしていない。ただ、落選した残りの3人とも、ブログなどで田久保市長へのシンパシーは明かしていた。古川勇貴氏(52)は、「伊東市のメガソーラー問題は終わっていない」「議員たちが伊東市の新図書館計画を復活させる」などとXで投稿し、田久保氏を追い詰める議会に疑問を呈した。また、梅田和江氏(66)は、ブログでメガソーラー問題などを取り上げ、「田久保まき伊東市長を応援して下さい」と呼びかけた。シュタインマン信子氏(50)は、フェイスブックの投稿で学歴詐称を「大問題」に仕立てたなどと議会を疑問視し、選挙後も「正直に言えば、今回の結果を見て、この町の民意に深く失望しています」と不快感を示した。不信任に賛成しなかった4人の得票は、計3200票余あり、有効投票の約1割に達していた。兵庫県知事選の前例はあるが、そのときと事情は違う?パワハラ問題などで出直し知事選が行われた兵庫県では、斎藤元彦知事は、全会一致の不信任決議で失職する前の24年7月の支持率が、激しく落ち込んだ。神戸新聞社などの世論調査では、斎藤県政を「支持する」と答えた人は、「どちらかといえば」を含め15.2%に留まっている。市民の1割ほどしか支持がなかったが、その後の選挙戦を通じてSNS上で支持が広がった影響から、それでも再選を果たした。ただ、兵庫県の場合は、告発した県職員の問題がクローズアップされ、斎藤氏に有利に働いた。今回の伊東市については、田久保市長の学歴詐称という個人的な問題になっており、事情が違うところはありそうだ。また、県議会を解散しなかった斎藤氏と違って、田久保市長が多額の血税を投入して市議会の解散・選挙に踏み切ったところも、大きな違いだと言えるかもしれない。市議選後に再度不信任案が出されるとみられる市議会臨時会は、10月31日に開かれる予定だ。同市議会事務局は20日、J-CASTニュースの取材に対し、地方自治法で選挙から20日以内に開くと定められていることから、市長部局からの提案を受けて調整したと明らかにした。ただ、市長が議会を招集するため、最終的な判断は、市長次第になるとした。このことが報じられ、「市長が辞めることになるので、臨時会が開かれないのではないか」との問い合わせが相次いでいるという。臨時会が開かれなくても、議会が解散されて24年度の決算審議が止まっているため、12月定例会は開かれるはずだとしている。(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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