大盛況に終わった大坂・関西万博。2025年9月下旬から10月13日の閉幕日付近にかけては連日20万人以上が来場し、チケットの購入も困難になるほどだった。閉幕後は「万博ロス」の声も散見される。しかし、開幕前後には、会場における問題も取り沙汰された。今回はそのうちの、「ユスリカ問題」と「メタンガス問題」を振り返る。虫がびっしりの写真も...5月にSNSで「大量発生」話題にユスリカをめぐっては、5月中旬にSNSで虫が大量発生しているとする投稿が相次ぎ話題になった。大屋根リングの柱にびっしりと虫がついている写真や、虫が群れになって飛んでいる写真なども投稿された。万博を主催する日本国際博覧会協会(万博協会)は、5月20日のJ-CASTニュースの取材に、この状況を把握しているとし、殺虫剤や殺虫ライトで対策をしているほか、専門業者へ相談していると明かしていた。万博協会の発表によると、大量発生したのは「シオユスリカ」だ。淡水と海水が混じる「汽水域」で発生する虫で、海に隣接するウォータープラザ周辺が発生源になった。蚊とは異なり、「感染症を媒介する報告はなく、また、刺すこともありません」という。対策を講じた万博協会は5月26日に「ユスリカ等対策本部」を設置したほか、吉村洋文知事がアース製薬に協力を要請したと明らかにした。万博協会はそのほか、フマキラーや複数の企業が協力を申し出たことも明らかにしている。その後、万博でのユスリカの話題は下火になったが、どのような対策が行われ、状況はどのように変化したのだろうか。対策の結果「6月以降はかなり少なく」10月29日にJ-CASTニュースの取材に応じた万博協会広報部は、ユスリカ対策について、「5月26日に『ユスリカ等対策本部』を設置し、専門の研究者や事業者とともに、万博の理念も踏まえつつ、人体や環境影響も考慮した対策を立案・実施してきました」と説明する。具体的な対策としては、次のようなことなどを行ったとする。・ユスリカの発生源であるつながりの海、ウォータープラザにおける海水循環の促進や水底の清掃による幼虫対策・外壁等への薬剤施工・屋内侵入防止ネットやビニールカーテンの設置なお、「ユスリカの発生源であるつながりの海・ウォータープラザへの薬剤の投入は実施していません」という。また、万博の公式サイトでは、使用している忌避剤等について次のように安全性を説明している。「関連法規に従い、一般的に製造販売されているものを採用しております。これらの忌避剤は、市街地や公園等の公共の場や、一般家庭で使用されている、安全性の高いものであり、喘息をお持ちの方や妊婦の方も含め、皆さまに安心してご来場いただける環境を整えております」万博協会広報部は、対策の結果、「会場内でのユスリカの飛来は、6月以降はかなり少なくなりました」という。記者が8月下旬に万博を訪れた際は、夜にパビリオンの外壁の照明に群がるユスリカを目撃したものの、たしかに日中はほとんど見かけることはなかった。また、別の記者が9月に万博を訪れた際も、ユスリカは見なかったという。実施された対策は効果があったとみられるが、万博協会広報部は今回のユスリカ対策について、「専門家のご意見を伺いつつ進めるということがポイントであったと考えています」としている。メタンガスは毎日「測定結果が基準値未満となっていることを確認」メタンガスについてはどうか。万博協会広報部はJ-CASTニュースの取材に、「夢洲は廃棄物で埋め立てられた土地であり、埋め立てられた廃棄物の分解に伴い、地下からメタンガスが発生しています」と説明する。メタンガスをめぐっては、開幕前から検出が確認されており、対策も講じられてきた。24年3月28日にグリーンワールド(GW)工区のトイレで爆発火災事故が発生。また、パビリオンワールド(PW)工区でも低濃度のメタンガスが検出されていた。これを受け、24年6月に、有識者の意見を踏まえた安全対策が発表された。それによれば、トイレには、「便器や配管周囲にシール等を設置し、隙間を埋め、地下ピットからのガス侵入を防ぐ」ほか、「機械換気設備」を設置して強制換気をする、ガス検知器の設置も行われることになった。屋外の地下埋設構造物では、マンホールの蓋などの有孔化を行い、滞留するガスを排出する対策を取った。また、ガス濃度の測定値を公式サイトで公表することも発表された。しかし、開幕直前の25年4月6日、GW工区の屋外の電気設備地下ピットで、労働安全衛生規則で定める基準値は1.5vol%を超える5vol%以上のメタンガスを検知した。これを受け、該当箇所の立ち入りを規制し、地下ピットの蓋を開放して換気。約1時間で基準値以下になったことが確認できたという。万博協会は、該当箇所について「モニタリングの頻度を上げるとともに、より換気ができるよう、蓋を常時開放し、低濃度管理をおこないます」「人が立ち入ることがないよう当該箇所の周囲に柵を設けることとしました」と発表している。会期中について、万博協会広報部は「来場者の皆様に安心してご来場いただけるよう、『ガス安全確認状況』として、測定結果が基準値未満となっていることを確認し、毎日、安全にご来場いただける旨を博覧会協会公式Webサイトお知らせしていました」。なお、ガス濃度の測定値も、月毎に公表されてきた。こうした大阪・関西万博での経験、ノウハウがレガシーとして、27年に横浜市で開かれる「認定博」の国際園芸博覧会(GREEN×EXPO2027、花博)などのビッグイベントへと継承されていくだろうか。
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