プロ野球ロッテ、中日でプレーした野球解説者の愛甲猛氏(63)が、2025年11月3日に公開されたデーブ大久保氏(58)のユーチューブ動画に出演し、今オフ大リーグに挑戦するヤクルト村上宗隆内野手(25)について、「大谷と比較されるのはかわいそう」との見解を示した。
「だいリーグに挑戦した筒香嘉智もすごい苦労したという」
九州学院高校出身の村上は、17年ドラフト会議でヤクルトに1位指名され入団。高校時代は、通算52本の本塁打を記録した。
プロ2年目の19年にレギュラーの座を獲得し、24年シーズンまで100試合以上の出場を果たした。22年シーズンは56本塁打をマークし本塁打王のタイトルを獲得。打点、打率でもリーグトップとなり、史上最年少での3冠王となった。
今シーズンは春先に上半身のコンディション不良で離脱。4月に1軍登録されるも、コンディション不良が再発し、出場選手登録を抹消された。7月下旬に1軍に復帰。今シーズンの出場は56試合にとどまり、打率.273、22本塁打、47打点だった。
ヤクルトで8年間プレーした村上は今オフ、ポスティングシステムを利用し大リーグに挑戦する。
元3冠王の大リーグ挑戦について愛甲氏は、「村上は、全然ダメとは思わない」と前置きし、ロサンゼルス・ドジャースで活躍する大谷翔平選手(31)の名を挙げ、村上の不安要素について言及した。
「ただ、かわいそうだなと思うのは、大谷と比較されだすから、そこをどのようにしのいで向こう(米国)で頑張れるか。やっぱり、『日本から来た、日本のホームラン王だ』となると、向こう(米国)の見方も、そういう見方をする。だから(大リーグに挑戦したDeNAの)筒香(嘉智)も、そこですごい苦労したという」
「村上のサードの守備力でメジャーで使っていくのかなと」
そして、村上が守備、打撃それぞれで抱える不安材料を指摘。守備については「どこまでメジャーで通用するか」とし、こう続けた。
「打球の速さがある。サードをやるならば、ある程度、肩が強くなくてはならない。村上のサードの守備力で、メジャーで使っていくのかなと。じゃあ(ポジションは)どこだよというと、ファーストになる。でも、ファーストはどこも、すごいのばかりいる。余程、守備のミスをカバーするくらい打たないといけない」
打撃に関しては、「メジャーリーグのスライダーとチェンジアップにどこまで対応できるか。大谷も今年、すごく苦労した。たぶん、インコースにバンバン、スライダーや真っすぐがきて、外にチェンジアップ。そこの配球。ボールの質も違う。スライダーの曲がりも速くてすごい。そこをどう対応できるのかという不安はある」と指摘した。
これまで日本出身の投手が、大リーグで好成績を収めるケースは多くみられる。一方で、野手に関しては、成功を収めた日本人大リーガーは、そう多くはない。愛甲氏は、ニューヨーク・ヤンキースなどでプレーした松井秀喜氏(51)を例に挙げ、次のように持論を展開した。
「日本で(本塁打を)50本打った松井(秀喜)が、メジャーに行ったら1回だけ30本打てただけで、あとは打点を稼ぐほうにシフトしたという。どこかでそういう風になっちゃう。大谷は別格。だけど、比較されちゃう。絶対そうなってしまう。アメリカは見方がシビア。そういうものに(村上は)耐えていけるのかなという不安を持って見ている」
今オフ、大リーグに挑戦する元3冠王。大リーグ公式サイトは3日、今オフのフリーエージェント(FA)の注目30選手を紹介。村上は7位につけ、移籍先候補として、ロサンゼルス・ドジャース、シアトル・マリナーズ、ニューヨーク・ヤンキースを挙げた。