世代でくくる気持ちをぐっと抑える
ところで、年長者の嘆きは現代のビジネス空間だけにとどまらない。臨済宗円覚寺派管長で花園大学総長の横田南嶺(なんれい)さんは、円覚寺の公式サイトに「今時の若者は」と題するコラムを書いている。その一節。
「我々の修行の世界でも、『この頃の修行僧は』というと、そのあとは必ずなっていない、たるんでいると言われます。(中略)「わしらの頃にはなあ」というお説教になるのが定番であります。こんな話を私なども何遍も何遍も聞いてきました。聞いて何になったかというと、ほとんどなににもなりません」
この古くから続く課題に対し、心理カウンセラーで著書「話し方で老害になる人 尊敬される人」がある五百田(いおた)達成さんは、「世代でくくってしまって納得したい気持ちをぐっと抑え、極力、目の前の人と向き合い話を続ける」ことを「若者との正しい話し方の基本」として強く勧めている。自戒とともに考えたい。「私が若い頃は」と懐古し、「今の若い子は」と無遠慮にひとくくりにすることは、無意識のうちに壁を築いてしまう。この壁をのりこえるためにこそ、目の前の個性を大切にする対話の姿勢が求められている。
(ジャーナリスト 橋本聡)