リモートワークの普及やビジネスカジュアル化の進展で「スーツ離れ」が叫ばれる中、紳士服業界の2大巨頭である青山商事とAOKIホールディングス(HD)が好業績を維持している。
両社ともに増収増益を続けているが、その好調を支えているのは大胆な事業の多角化戦略だ。
青山商事もAOKIHDも営業利益は大幅な伸長の見込み
決算発表会見でも経営陣がスーツを着ない大企業が珍しくなくなるなど、ビジネスシーンでのカジュアル化が進んでいる。コロナ禍を経てリモートワークも定着し、スーツ需要の減少は避けられない状況にあるはずだ。
ところが、スーツ業界の両雄は堅調な業績を維持している。
業界首位の青山商事の2026年3月期連結決算は、売上高は前期比2.6%増の1998億円、営業利益は11.3%増の140億円の見込み。一方、業界2位のAOKIHDの同期決算は、売上高は前期比2.8%増の1980億円、営業利益は8.7%増の170億円の見通しであり、5期連続の増収増益を見込む。
両社とも売上高の伸びは緩やかだが、営業利益は2桁ないし2桁近い伸びを示しており、収益の拡大が際立っている。スーツ離れという逆風の中で、なぜこれほどの好業績を維持できているのか。