高市早苗首相が2025年11月21日、南アフリカのヨハネスブルクで開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に際しての思いをXに投稿し、その内容が議論を呼んでいる。「『安物に見えない服』『なめられない服』を選ぶことに数時間を費やしました」高市氏は21日夜、Xに「G20ヨハネスブルグ・サミットに向かう道中です」と投稿。「昨日は、午前中の日程を空けてもらって出張用荷物のパッキングをしましたが、悩みに悩んで凄く時間がかかったのが、洋服選び......」とつづった。背景には、「去る11月14日の参議院予算委員会における安藤裕参議院議員の御発言が、頭の中でグルグル」との思いがあった。安藤氏は予算委で、「これから、高市総理はじめ各閣僚の皆さんも、世界各国のトップと交渉しなくてはなりません。そのときに、できれば日本最高の生地を使って、日本最高の職人さんが作った服でしっかりと外交交渉してもらいたいんですよ。安物の服で対応していたらなめられます」と高市氏に忠告していた。高市氏は今回、「私は日本最高の生地を使った服や日本最高の職人さんが作った服は持っていませんが、安藤議員の御指摘は一理ある気がして、クリーニングから戻ってきた服の中から、『安物に見えない服』『なめられない服』を選ぶことに数時間を費やしました」と明かした。「結局、手持ちが少なく、皆様が見慣れたジャケットとワンピースの組み合わせで荷作りを終えましたが...。外交交渉でマウント取れる服、無理をしてでも買わなくてはいかんかもなぁ」と率直な思いを明かしている。「品性の無い最低なワードチョイス」投稿には13万件を超える「いいね」と6200件以上のリプライ(返信)が寄せられるなど、大きな注目を集めた。議論の中心となったのは、高市氏が用いた「外交交渉でマウント取れる服」との表現だった。SNSでは、「『相手に失礼の無い服装』とかじゃなくて、『なめられない服』『交渉でマウント取れる服』を着ようとしてるの、幼稚にも程があるだろ」「『相手国に恥じない』とか、『威厳を損なわない』とか言いようは色々あるのに、『マウントを取る』という品性の無い最低なワードチョイスをしてしまう高市センセイ...」など、違和感を示す声も多い。共産党の小池晃書記局長は、この投稿を引用し「『外交交渉でマウントを取る』などという投稿を国際会議に向かう機中で現職総理が。あまりにも軽率で不見識ではないか」と疑問をつづった。山添拓参院議員は、「外交でマウントを取ろうという発想も、それが服装次第と考えているらしいことも、唖然とする。事実と道理、国際法など埒外の恥ずべき姿勢」と批判している。立憲民主党の米山隆一衆院議員は、「そう思うのは自由ですが、それを公言してどうするのかというか、交渉相手に『今マウントを取ろうとしているな』と思わせて意味があるのかと思います。それ以前に、一体何を着たら服でマウントを取れるのかと思いますし」と首を捻った。「総理大臣の時間がもったいない」一方で、身だしなみに悩む高市氏に一定の理解を示す声もある。「相手との距離をどう作るかに身だしなみが効く場面もありますが、最終的に見られているのは姿勢や中身の方だと思います。限られた手持ちで整えていく感覚は、多くの人と同じで少し親しみが湧きました」「総理がお召しになっている服は、どんなブランドよりも『日本の覚悟』を一番強く伝えていると思います。世界に対して堂々と、日本の立場を示してくださる姿が、一番の外交力です...!」など、励ますコメントが寄せられた。また、激務の中で総理自らが洋服選びを行っている現状への疑問も少なくない。 「どうしてスタイリスト・美容師・栄養士辺りが総理に付くシステムではないんだ・・」「一流のスタイリストに考えさせて、交渉の戦略事に集中した方が良い。総理大臣の時間がもったいない」議論の発端となった安藤氏も、「給料引き下げしないで、きちんと報酬をもらって日本の良さをアピールする服を自分の給料で買ってください」と投稿。「日本の職人さんも豊かになり、技術も伝統や文化も守られます。経済の好循環が生まれます。身を切る改革では個人消費が落ち込み日本の伝統や文化を守ることが出来なくなります。お願いします」と呼びかけている。
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