日産自動車は大丈夫なのか。熱烈なファンならずとも、クルマ好きならだれでも気になる。日産はこれまで何度も経営危機に陥ってきたが、今回は深刻だ。果たして日産は復活できるのだろうか。
北米でEVは売れず、人気のHVがない商品展開
日産は2025年3月期の連結最終損益が6708億円の赤字(24年3月期は4266億円の黒字)となり、4期ぶりの赤字に転落した。このため世界で2万人の人員や7工場の削減など大規模なリストラを進めている。26年度に自動車事業で営業黒字化を目指すというが、道のりは険しい。
経営不振の理由は簡単だ。日本を含む世界市場で売れるクルマがないからだ。自動車産業は「水商売」と言われる。飲食店のように、客の人気や贔屓(ひいき)に商売が左右され、収入が不安定で盛衰が激しい。鍵を握るのは商品そのものだ。
日産は米国やカナダが主力市場で、2023年度は営業利益の6割近くを北米が占めていた。ところが24年度は一転し、北米の営業損益が赤字に転落した。米国の販売不振が原因だ。
日産は北米で「リーフ」や「アリア」など電気自動車(EV)の販売を優先するため、ハイブリッドカー(HV)の投入を見送る戦略をとってきた。24年度はガソリンエンジンの「キックス」や「ムラーノ」などの新型車を発売したが、いずれもヒットしなかった。北米でEVは売れず、人気のHVがない商品展開は結果的に失敗だった。