努力を誓う「勝ちダルマ」が有名な大阪・箕面市の「勝尾寺(かつおうじ)」で、参拝者が小さなダルマの山で作った台湾島や愛のメッセージを、別の人が故意に壊したとの目撃談がSNS上で波紋を広げている。寺は取材に、一連の事案を把握していなかったとしつつ、「国籍とか年齢とか性別とか関係なく、皆様に1日を楽しく過ごしていただきたい」との思いを伝えた。ダルマで作られた台湾本島・文字をバラバラに波紋を広げたのは、現場を目撃したThreadsユーザー・程(@cwsocool_)さんが2025年11月30日に投稿した動画だ。動画の冒頭では、境内の柵で囲われた一角に小さなダルマの山があり、よく見ると台湾本島の形や「TW」「I♡U」の文字が作られた状態だった。しかし1人の女性が、家族らしき同行者の制止を振り切って中に入り、険しい表情で40秒以上にわたりダルマの一部を移動。最初はひとつかみずつ、最後はなだれさせるようにメッセージを崩壊させて、同行者に引っ張られる形で去った。投稿者自身は当初ダルマを置く予定だったと中国語の投稿文で説明し、「私たちが離れた後、また戻って二度目の破壊をしたようです。遊びに来るなら遊びに来るで、こんなことをしなくてもいいでしょ」などと伝えた。投稿は4万8000件超の「いいね」を集め、動画の行為が批判されている。一連の出来事は、台湾大手紙「自由時報」のニュースサイトでも報じられた。同日の記事によると、最近、先のようなメッセージを作ることが台湾観光客の間でちょっとした交流になっているという。崩した女性は中国人と思われる、とされた。元は「ダルマみくじ」、置き方は参拝者の自由にしている勝尾寺の広報担当は12月3日にJ-CASTニュースの取材に応じ、そもそもメッセージが作られたことを把握していなかったと答えた。同寺は紅葉の名所で、11月は1年を通じて最も参拝者が多いことも相まって、「いつからそれが出来てとか、どういった経緯でというのは全く分からない」。実態として海外からはアジア勢が多く、なかでも台湾の団体が多いという。使われたのは、勝ちダルマではなく、小さなダルマにおみくじが入った「六十四卦ダルマみくじ」。おみくじを引いた後のダルマは境内のどこに置いても良いと案内しており、例えばハート型を作る参拝者も。「その形について特段、こちらの職員から『それはダメ』とか『こうしてください』ということも一切なく、皆様ご自由に置いていただいてる」とした。メッセージが壊されたとの情報も入ってないという。奉納品ではないものの、寺としては「置かれたダルマは触っていただきたくない」と伝えているところ、ダルマの数が多く、訪日客ひとりひとりに周知するのは難しいとも明かした。ちなみに、砂利を敷きなおす時など寺がダルマを回収・お焚き上げするケースもある。年1回は必ず回収している。柵に関しては、メッセージを保護するものではなく、訪日客にも人気だというスタンプラリーの列整理のために設置したと説明した。場所が坂の上なので安全確保の意味もある。柵内にダルマが置かれるのは他の場所でもありうることで、注意はしておらず、「参拝者の方がご自由に置かれているのだなというぐらい」とみている。「『人類みな、同じ地球人』ということで1日1日を大切に」勝尾寺では、大阪・関西万博(4月13日~10月13日)の期間中、イベント「#WDC」(WorldDarumaChallenge)を開催。多くの海外からの参拝者が訪れたという。イベントは、特設ステージとともに世界201の国・地域の旗を用意し、参拝者が国旗を手に記念写真を撮るものだ。結果的に全201の国・地域の人が参加。広報担当は、特定の国に限って友好関係を築いているわけではないとし、「来ていただく方、皆様こちらでお参りしていただいて1日を楽しく過ごしていただけたらなという思いのみ」と話した。下記のようにも伝えている。「勝尾寺としては、ちょっと壮大かもしれませんけれど『人類みな、同じ地球人』ということで1日1日を大切に生きるという...布教ではないですけれど(思いがある)。国籍とか年齢とか性別とか関係なく、皆様に1日を楽しく過ごしていただきたい」
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