「今の会社に大きな不満があるわけではない」「本当にこのままでいいのだろうか」
職場環境は良好で、人間関係にも恵まれている。福利厚生もしっかりしている。客観的に見れば「辞める理由がない」ように見える環境。しかし、仕事に余裕が出てくる20代後半から30代にかけての、ビジネスパーソンとして成長が鈍化したと感じたり、将来に不安を感じたりするタイミングで、ふとした瞬間に上記のような静かな焦燥感に襲われる──。
今回は、恵まれた環境にいながらも将来への危機感から一歩を踏み出し、結果として想像以上のキャリアを手に入れた30代の事例を紹介します。「現状維持か、挑戦か」で揺れるあなたの心に、ひとつの道しるべを。リクルートエージェントでキャリアアドバイザーをつとめる松原大悟が解説します。
「贅沢な悩み」とふたをせず、将来の自分に向き合う勇気
Aさんが転職活動を始めたきっかけは、「理想の40代に向けて、30代のうちにスキルアップできる環境でキャリアを積んでいきたい」という、将来への前向きな危機感でした。
Aさんの前職は、ある企業の一般職。職場環境や福利厚生は非常に充実しており、ご自身でも「正直、現職のままでもいいかな」と思う瞬間があったそうです。
しかし、業務内容は総合職のサポートが中心。新しいスキルを習得する機会は乏しく、同じような業務をしていても総合職とは給与やキャリアの広がりに明確な差がある現実に、少しずつ納得がいかなくなっていたといいます。