タクシー配車アプリ「S.RIDE(エスライド)」を提供するS.RIDE(東京都港区)が2025年12月9日、自社アプリを訴求する広告でのコピーが批判を集めたことをめぐり、公式サイトで謝罪した。
広告を出すのをやめ、その経緯も具体的に説明したことで、X上で「問題を明確化してて偉すぎ」「失敗を好感に変える実例」などと対応が評価されている。同社に詳しい話を聞いた。
なぜ終了?「幹事様が担う責任や...」
S.RIDEをめぐっては、12月上旬から、「忘年会、幹事だけポイント貯まるのずるくない!?」というコピーの広告が注目された。ポイントを貯めることができる自社アプリを訴求する狙いがあったとみられるが、X上では、幹事という役割への同情から「とても不愉快」「よくこんなキャッチコピーにしたな」などと批判された。
9日の発表では、「このたび、弊社が掲出いたしました屋外広告(コピー:『忘年会、幹事だけポイント貯まるのずるくない!?』)におきまして、お客様ならびに多くの皆様より『幹事への配慮に欠ける表現である』とのご指摘をいただきました」と説明。対応と経緯を、
「お寄せいただきましたご意見を真摯に受け止め、社内にて当該広告の表現について改めて協議いたしました。その結果、忘年会などの幹事様が担う責任やご負担に対する想像力、および配慮に欠ける不適切な表現であったと判断し、当該広告の掲出を終了いたしました」
と明らかにし、「当該広告の表現により、ご不快な思いをおかけしました皆様に深くお詫び申し上げます。今後は広告表現の確認体制を抜本的に見直し、再発防止に努めてまいります」と結んでいた。
この発表を受けて、Xでは一転、「久々にこんなまともな詫び文見た」「問題を明確化してて偉すぎてる」「誰が何をやらかしたので謝ってるのかさっぱりわからないお詫びと違って潔い」「失敗を好感に変える実例だと思った」「誠意ある!」「幹事です。許せます」といった声が少なからず上がっている。
「驚くとともに、改めて身の引き締まる思い」
S.RIDEの広報担当は12月12日にJ-CASTニュースの取材に応じ、当該広告は同1〜28日での掲出を予定していたが、8日に早期終了したと説明した。JR東日本の主要駅のホームドアに出していたという。
問い合わせ件数の公表は差し控えるとしたが、「12月5日(金)にSNS上でのご指摘を確認した後、週末にかけての拡散状況や、カスタマーサポートへ寄せられたご意見を重く受け止めました」とし、「件数の多寡もさることながら、皆様からのご指摘を通じて、本来、幹事様が担う責任やご負担に対する想像力、および配慮を欠いていたと痛感し、直ちに掲出を終了すべきと判断いたしました」と改めて伝えた。
今回の発表で経緯を詳しく説明した理由は、「お客様へのお詫びの気持ちを誠実にお伝えするためには、私たちに『何が足りなかったのか』を曖昧にせず、具体的に記すことが必要であると判断いたしました」という。指摘を真摯に受け止め、社内で議論し、お知らせを出すに至ったというわけだ。
肯定的な反響は「本来であればお叱りを受ける立場ですので、このような反響をいただいていることに驚くとともに、改めて身の引き締まる思いです。今回の反響を受け、その責任の重さを再認識しております。このお声を真摯に受け止め、今後のサービス運営に活かしてまいります」と受け止めた。その上で、改めて反省の言葉をつづった。
「改めまして、当該広告の表現により、ご不快な思いをおかけしました皆様に深くお詫び申し上げます。S.RIDEは、日々の移動を支えるインフラのような存在を目指しております。今回の教訓を胸に、お客様からの信頼を第一に考え、真摯にサービス運営に取り組んでまいります」
【屋外広告の掲出終了について】
— タクシーアプリ S.RIDE(エスライド) 公式アカウント (@SRIDE_TAXI) December 9, 2025
「忘年会、幹事だけポイント貯まるのずるくない!?」というコピーを使用した屋外広告につきまして、SNS等でのご指摘を真摯に受け止め、配慮に欠ける表現であったと判断し、掲出を終了いたしました。
ご不快な思いをおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。