群馬県草津町の元町議会議員・新井祥子氏が、黒岩信忠草津町長から性被害を受けたと虚偽の告発をした事件をめぐり、全国フェミニスト議員連盟が2025年11月30日に声明を発表した。
「結果として草津町長をはじめ関係者の皆様にご負担をおかけした」
新井氏は19年11月、「15年1月に町長室で黒岩信忠町長と性交渉をした」などと主張する電子書籍を配信。新井氏は記者会見を開き、町長を告発し、辞任を目指すと訴えた。
しかし、黒岩氏は新井氏の訴えを事実無根とした上で、新井氏および電子書籍を執筆したノンフィクションライターを名誉毀損で訴えていた。25年9月になり、新井氏に懲役2年執行猶予5年(求刑懲役2年)の判決が言い渡された。
新井氏を支援してきた全国フェミニスト議員連盟は11月30日、ウェブサイトに「元草津町議会議員 新井祥子さんの裁判判決を受けて」との声明を公開した。
「25年9月29日、草津町長に関する元草津町議会議員の新井祥子さんの告発内容が虚偽であると認定され、有罪判決が確定したとの報道に接しました。このような事態になったことを大変残念に思います」
新井氏をめぐる対応について、「結果として草津町長をはじめ関係者の皆様にご負担をおかけしたことを、心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。さらに、「当連盟に共感し、女性議員を増やし男女同数議会を目指して活動している方々にご心配をおかけしましたことを重ねてお詫び申し上げます」とした。
「これからも被害を訴える当事者を尊重し対応していく姿勢は変わりません」
今後の対応については、連盟が22年5月22日に発行した「女性議員を増やす・支える・拡げる―議会におけるいじめ・ハラスメント調査報告書―」に掲載された新井氏に関する記事全文を削除すると発表。
新井氏が連盟主催のシンポジウムおよびセミナーに報告者として登壇し、議会での経験を話していたことについては、「新井さんのことを社会に広めた結果となり、大変責任を感じています。今後はより丁寧な運営を心掛けてまいります」とした。
一方で、20年12月11日に提出した抗議文「新井祥子議員に対する草津町議会の除名処分と議長主導の住民投票に抗議します」については、「議会の非民主的な運営等に対するもの」だったと釈明した。
抗議文では、「群馬県草津町議会は『女性ひとり議会』です。新井祥子議員が町長による性被害を告発したことへの草津町議会の対応は、『性被害を告発したこと自体を否定する』人権侵害だと私たちは考えます」と訴えていた。
今後について、「当連盟は、これからも被害を訴える当事者を尊重し対応していく姿勢は変わりません」とした上で、「同じ思いの女性同士のつながりによるエンパワメントを願っています」と説明。そして、次のように締めくくった。
「男女が半数ずつ存在する社会を議会に反映させること、フェミニズムに根ざした姿勢を持つ女性議員を議会に増やしていくことを基本に、これからも精進してまいります」