群馬県草津町の元町議会議員・新井祥子氏が、黒岩信忠草津町長から性被害を受けたと虚偽の告発をした事件をめぐり、全国フェミニスト議員連盟が2025年11月30日に声明を発表した。
草津町は12月12日、「当町議会の見解を、添付ファイルのとおり送付いたしました」として、声明への反応を示した。
20年12月提出の抗議文については取り下げず
新井氏は19年11月、「15年1月に町長室で黒岩信忠町長と性交渉をした」などと主張する電子書籍を配信。新井氏は記者会見を開き、町長を告発し、辞任を目指すと訴えた。
しかし、黒岩氏は新井氏の訴えを事実無根とした上で、新井氏および電子書籍を執筆したノンフィクションライターを名誉毀損で訴えていた。25年9月になり、新井氏に懲役2年執行猶予5年(求刑懲役2年)の判決が言い渡された。
新井氏を支援してきた全国フェミニスト議員連盟は11月30日、ウェブサイトに声明を公開。新井氏をめぐる対応について、「結果として草津町長をはじめ関係者の皆様にご負担をおかけした」として謝罪した一方、20年12月11日に提出した抗議文「新井祥子議員に対する草津町議会の除名処分と議長主導の住民投票に抗議します」については、「議会の非民主的な運営等に対するもの」だったと釈明していた。
「当議会が提示した問題点を無視された状態で当町議会を『非民主的』と断じられたことに...」
草津町議会は12日、町議会の見解をまとめた声明をウェブサイト上で公開した。
全国フェミニスト議員連盟による抗議文をめぐり、町議会は当時も「回答書をお送りし、また当議会ホームページにて抗議文と回答書を併せて公開しました」。しかし、「その後貴連盟から当議会へは何らご返答を頂けないまま現在に至っております」という。
その上で、「今回改めて、回答書内で当議会が提示した問題点を無視された状態で当町議会を『非民主的』と断じられたことに、驚きと当惑を禁じ得ずにおります」とした。
今回の声明については、「新井氏を厳しく断罪した判決の内容、そして黒岩町長への人権蹂躙において貴連盟ならびにその先導を務める方々が果たされた役割をどの程度受け止めておられるのか、今回の声明から掴み取ることはできませんが」としつつ、以下のように疑問を呈した。
「『結果として』、『ご負担』などの言葉で責任の濃度を薄めながら『心よりお詫び』を述べつつ、一方で当町議会に対しては従来の主張を繰り返され、『非民主的』というレッテルを貼り続けたまま活動の継続を宣言される貴連盟の姿勢には、大いに疑問を感じざるを得ません」
なお、「結びに、今回の判決後に黒岩町長の元に直接謝罪に来訪された一般社団法人『Spring』の代表理事さまより頂いたお詫びの文面に記された一節を引用いたします」とし、同議連と同じように、新井氏を支持・支援していた団体によるお詫びの文章を紹介して締めくくっている。