福岡刺傷事件、容疑者は吉本劇場・ホークスも「常連」 Xに残していた「ゆがんだ距離感」

   みずほPayPayドーム福岡(福岡市中央区)に隣接する商業施設、「BOSS E・ZO FUKUOKA」(ボス イーゾ フクオカ)近くで男女2人が刺される事件が2025年12月14日に起き、無職の山口直也容疑者(30)が殺人未遂などの容疑で逮捕・送検された。

   商業施設の1階には、アイドルグループのHKT48が本拠地とする劇場が入居。刺された2人のうち、男性はHKT48運営会社のスタッフで、山口容疑者はメンバーを狙って犯行に及んだとの見方も出ている。山口容疑者のものとみられるXアカウントでは、真偽は不明ながらも、本拠地のHKT48劇場以外でもメンバーを目撃したと、たびたびアピールしていた。投稿によると、同じ建物の7階にある、よしもと福岡劇場でも「常連」だったようだ。吉本芸人を無断撮影したとみられる写真も投稿しており、ファンと出演者との距離感を見失っていたことがうかがえる。

  • 商業施設、「BOSS E・ZO FUKUOKA」(ボス イーゾ フクオカ)。1階にHKT48の劇場、7階に、よしもと福岡劇場が入居している
    商業施設、「BOSS E・ZO FUKUOKA」(ボス イーゾ フクオカ)。1階にHKT48の劇場、7階に、よしもと福岡劇場が入居している
  • 山口直也容疑者はみずほPayPayドーム福岡(福岡市中央区)にも頻繁に通っていた
    山口直也容疑者はみずほPayPayドーム福岡(福岡市中央区)にも頻繁に通っていた
  • よしもと福岡劇場で「自撮り」する山口直也容疑者(山口容疑者のものとみられるXから)
    よしもと福岡劇場で「自撮り」する山口直也容疑者(山口容疑者のものとみられるXから)
  • 商業施設、「BOSS E・ZO FUKUOKA」(ボス イーゾ フクオカ)。1階にHKT48の劇場、7階に、よしもと福岡劇場が入居している
  • 山口直也容疑者はみずほPayPayドーム福岡(福岡市中央区)にも頻繁に通っていた
  • よしもと福岡劇場で「自撮り」する山口直也容疑者(山口容疑者のものとみられるXから)

エレベーターでメンバーと乗り合わせて「話しかけたら優しい対応してくれた!」

   このXアカウントのプロフィールでは、「スタエン」、つまりSTARTO ENTERTAINMENT所属タレントやHKT48、福岡ソフトバンクホークス、福岡吉本のファンだと説明。24年2月の投稿ではHKT48のCDの納品書の写真を載せており、その中に「山口直也」の記載が確認できる。

   24年末のポストによると、24年中に67回HKT48劇場を訪れている。それ以外にも、吉本の劇場に75回、1軍以外も含めるとホークス戦には24回出向いたとしている。回数が正しいかは不明だが、球場内やHKT48、吉本の劇場で撮った写真を大量に投稿していた。

   今回の犯行を示唆するような書き込みは見当たらないが、目立つのが劇場外でメンバーを目撃したとする書き込みだ。例えば25年10月には、HKT48メンバー4人の名前を挙げた上で「福岡よしもとお笑いライブ見に来てる!!」。別の日には、メンバー2人とエレベーターで一緒になって「3人きり」になって「ビックリした」。「話しかけたら優しい対応してくれた!」とも書き込んだ。これ以外にも、メンバーを目撃したことをたびたびアピールしていた。

   目撃情報の投稿はHKT48メンバーに限らず、24年12月には、コンビニ前の駐車場で談笑する男性の写真つきで、

「よしもと芸人さん発見!」

と投稿していた。

「いつも大切に守ってきた場所でこのような事件が起き、言葉になりません」

   一方、事件発生で活動をストップしていたHKT48は、12月16日午後に一部活動を再開。一部メンバーはSNS投稿や動画配信を再開したほか、この日夕方放送された「#キューパレ 坂田周大 山内祐奈の いいねちょうだい」(RKBラジオ)には、予定通りメンバー2人が出演した。

   Xでは、やりきれない思いが次々につづられた。

「今回の出来後は誰にとってもすごく悲しくて心苦しくてもう二度と起こってほしくないことです。このようなことが起きない世の中になることを願います」(江口心々華(ここは)さん)
「いつも大切に守ってきた場所でこのような事件が起き、言葉になりません。私にも何かできることがあったのではないか、防げたのではないかと考えてしまい胸が張り裂けそうです。本当に、本当に申し訳なくて、悔しいです。二度とこんなことが起きてはいけません。絶対に」(梁瀬鈴雅(やなせ・れいあ)さん)

   12月17日に予定されていた劇場公演は「諸般の事情を踏まえ」中止することにしている。20日にも公演が予定されているが、運営会社では「現在開催に向けた環境の準備を進めておりますが、開催の可否につきましては、改めてご案内させていただきます」としている。事件発生直後には

「今回の事件を受け、メンバー・スタッフの安全を確保すべく、施設側とも協議を行い、さらなる警備強化を実施してまいります」

とも発表している。

(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)

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