安倍晋三元首相を銃撃して殺人罪などに問われている山上徹也被告の裁判は、2025年12月18日に検察側の論告求刑、弁護側の最終弁論が行われ結審した。検察は「被告人の生い立ちが不遇であることは否定しない。しかし、善悪の判断ができる40代男性であり、情状に大きく影響を与えない」として、無期懲役を求刑した。過去に政治家が襲撃された刑事事件はいずれも無期懲役無期懲役の求刑は予想されていたが、この日の「報道ステーション」(テレビ朝日系)は、検察がとくに重罰を求めた理由やその時の山上被告の様子などを詳報した。まず、小木逸平キャスターは「検察は無期懲役を求刑した根拠について、過去に政治家が襲撃された刑事事件を、一定の参考になるとあげました」と説明した。1件は2002年の石井紘基衆院議員が右翼団体の男に刺殺された事件、2件目は伊藤一長・長崎市長が暴力団員に銃撃された事件だ。いずれも無期懲役が確定している。小平キャスターは「検察は『過去の事案の均衡を考慮しても、不遇な生い立ち、その他の被告に有利な事情を最大限考慮して、なお無期懲役より軽い刑を選択する余地がないことは明らか』としています」と伝えた。弁護側は「重くても刑期は20年まで」と主張大越健介メインキャスターはこの事件と裁判を取材してきた山崎成葉ディレクターに、「山上被告自身はこれをどう見ていると感じましたか」と聞く。山崎ディレクターは「今回、山上被告は遺族への謝罪はしましたが、一方で(情状酌量を求める)いわゆる反省の言葉というものは口にしませんでした。きょうも最後に発言する機会がありましたが、そこでも『ありません』というふうにひと言述べて、裁判の中では反省の言葉というものは、最後まで述べられないまま結審したことになります」と報告した。弁護側は「宗教が関わった虐待の被害者というべきで、懲役刑の刑期は最も重くとも20年までにとどめるべきだ」と主張した。裁判員が母親の旧統一教会への多額寄付で家庭が崩壊したことを考慮して、有期刑とする可能性も高い。大越キャスターは「判決は来年1月21日に言い渡されます」と伝えた。(シニアエディター関口一喜)
記事に戻る