2025年12月19日、フジテレビ系のトーク番組『酒のツマミになる話』が約4年9か月の歴史に終止符を打った。
24年2月2日までは松本人志さんを司会とした『人志松本の酒のツマミになる話』だったが、松本さんの芸能活動休止によりタイトルを変更。司会を千鳥・大悟さんが引き継いでいたが、25年10月に千鳥の2人から降板の申し出があり、年内終了が伝えられていた。
吉瀬美智子さんに「バラエティでのお酒禁止令」
25年10月31日の放送では、大悟さんがVTRで登場し、「ノブとも話し合った結果、『酒のツマミになる話』やめまーす」と宣言。フジテレビ黄金期の名コピーをもじり、「面白くなければテレビじゃない、フジテレビ」と皮肉った発言も話題となった。
だが、番組を振り返ると、松本人志さんがいた頃からすでに限界を迎えていたとも言える。
23年10月の放送では女優・吉瀬美智子さんがシャンパンで泥酔し、大悟さんにボディータッチを繰り返し、「飲み行こう」「赤い糸で結ばれてる」とアプローチ。大悟さんもまんざらでない感じで「めっちゃエエ匂いしてる」「下から見てもエエ女!」と骨抜きにされていた。
この回はTVer・FODの見逃し配信で128万再生を記録するなど話題を集めたが、吉瀬さんの事務所からは「バラエティでのお酒禁止令」が出されてしまうことに。吉瀬さんが自身のインスタグラムで明かしていた。
同様に、ダンス&ボーカルグループ、THE RAMPAGEの陣さんは23年8月に出演した際、収録前にウォッカを10杯飲み泥酔。24年7月の出演では、ウォッカを30杯も痛飲し、大声でガヤを入れるほどの失態を見せた。結果、陣さんは事務所から出演を止められていたようで、25年8月、反省の意を込めたスーツ姿で1年ぶりに復帰したのだった。
本来、番組の売りは「酔った状態」で語られる本音だった。しかし「出禁」措置が相次ぎ、飲酒を控える矛盾が生じてしまった。コンプライアンス意識の高まりで、ゲストも炎上を警戒。タイトルに「酒」があっても、単なるトーク番組と変わらない構造になっていった。
それでいて番組は「いかに数字がとれそうなゲストを呼ぶか」「トークが求められるか」という細かい分析に固執し始めていたように思える。「根本」そのものが失われたまま継続していた『酒のツマミになる話』。番組終了は時間の問題、必然だったと言えるだろうか。
(川瀬孝雄)