プロボクサーの那須川天心(帝拳、27)が、世界王者を目指して2026年に新たなスタートを切る。「井上戦ではボクサーとしての経験不足が露呈」那須川にとって25年は、勝負をかけた年だった。11月24日に初めて世界の舞台に立った。WBC世界バンタム級王座決定戦。対戦相手は、元世界王者の井上拓真(大橋、29)だ。プロ7戦の那須川に対して、井上は3倍以上のキャリアを誇った。このキャリアの差が、勝敗を分けた。試合は、那須川が1、2ラウンドを持ち前のスピードで井上を翻弄(ほんろう)した。ところが、3ラウンドに入ると、井上が攻撃的なボクシングを展開し、流れが変わった。4ラウンドも井上が主導権を握り、以降、井上ペースで試合は進んだ。結果は0-3で那須川が負けた。3人のジャッジのうち、2人が4ポイント差、残りの1人が6ポイント差で井上を支持した。ボクシング転向後、8戦目にして初黒星。那須川は試合後、潔く敗戦を受け入れた。悲願の世界王座獲得へ向けて始動する那須川。26年はどのような年になるのだろうか。J-CASTニュース編集部は、多くの世界王者を育成したTMKジムの金平桂一郎会長(60)に、那須川の26年を占ってもらった。金平会長は、世界王座初挑戦となった井上戦について、「ちょっとした狂いがあったから負けてしまっただけで、実力的に悲観するようなことはない」とし、こう分析した。「井上選手との世界戦では、ボクサーとして経験不足なところが露呈してしまった。1、2ラウンドは完全にポイントを取ったが、3ラウンドは微妙だった。そして、4ラウンドで井上選手に出てこられたときに迷いが生じた。それでボクシングがブレて、焦りが出てしまった。井上選手のボクシングに付き合う場面も見られました」「世界チャンピオンになったら、王座を長く防衛できる」井上戦では、最大で6ポイント差がついた。世界王座を獲得するために何が足りなかったのか。今後、何が必要となるのか。金平会長は、指導者としての経験を踏まえ、次のような見解を示した。「那須川選手のボクシングはスピードがあり、非常に精密。この質を落とさず、12ラウンドやりきる。元々、華がある選手なので、あとは自分のボクシングをいかにやりきるか。これに尽きる。技術的に『ああした方がいい』とか、『こうした方がいい』というものは、那須川選手はない。KOが少ないというのも気にする必要は全くない。KOは結果にすぎない。いかに自分のボクシングを貫くかということが、これから先、那須川選手がベルトを巻けるか、巻けないかにかかってくる」現在、バンタム級には世界主要団体の中で、4人の世界王者が存在する。WBA王者・堤聖也(角海老宝石、29)、WBO王者クリスチャン・ヒメネス(メキシコ、25)、IBF王者ホセ・サラス・レイジェス(メキシコ、23)、WBC王者・井上拓真だ。この4王者のいずれかが、那須川の標的となる。那須川陣営はどのような青写真を描いているのか。金平会長は「世界戦は、シンプルにあと1試合をしてからやった方がいいと思います」とし、こう続けた。「那須川選手は世界チャンピオンになると思っている。世界チャンピオンになったら、王座を長く防衛できるとも思っている。那須川選手はパンチをもらわない選手。いかに強い選手でも、パンチをもらう選手は長くはもたない。今後、さらに自信をつけて、勝つコツを身に着ければ、負けづらい世界チャンピオンになると思います」かつてキックボクシングの「神童」と称された那須川。プロボクシングでも世界の頂点に立つことができるのか。どのようなパフォーマンスをみせてくれるのか。26年の那須川に注目が集まる。
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