思わず出してしまった舌打ちから発展したやり取り
「一度でいいから、鼻をかんでくれたらいいのにと思っていたんです」
その気持ちが態度に出てしまい、思わず舌打ちをしてしまった。
「今、舌打ちしましたよね」
男性から突然声をかけられ、山田さんは驚いた。「すみません」と謝ったのだが――。男性は続けてこう言ったという。
「自分は鼻炎なんだから仕方ないでしょ。同じお金払ってるのに、なぜイヤな気持ちにならなきゃいけないんですか」
「でも、鼻をすする音が気になって眠れないんです」と山田さんも反論する。
「それは悪かったけど、いい年をして舌打ちはないでしょ。お互い気持ちよく乗りたいですよね」
やり取りはそこで終わり、男性は鼻にティッシュを詰めた。鼻をすする音は止まったが、山田さんは結局、終点まで眠れなかったようだ。
「最初からそうしてくれたらよかったのにという思いと、舌打ちをしてしまった後悔が残りました」
その夜、ネット上で相談すると、「鼻をすする音も不快だが、舌打ちはもっとイヤ」「イヤホンで自衛した方がいい」といった意見が寄せられた。
それ以来、山田さんはイヤホンを持ち歩き、周囲の音が気になるときは音楽を聴くようにしている。
「今でも舌打ちはよくなかったと思います。ただ、鼻をすする音が気になる気持ちも分かりますよね」
指定席という限られた空間では、ちょっとした不快感が表に出やすくなることもある。通勤時間をどのように過ごすか、考えさせられる出来事だ。