2026年2月8日に投開票された衆議選で、自民党は歴史的な圧勝を飾った。66人もの新人議員が誕生し、世間では「高市チルドレン」として注目を集めている。だが当選からわずか数日で、早くも議員としての能力を疑わせる言動が相次ぎ、「裏金」問題を起こした議員が教育係を務めていることも波紋を広げている。最年少26歳、実現したいこと聞かれて「な、何をですか?」高市チルドレンの中でもメディアの注目を一身に浴びているのが、比例北海道ブロックで初当選した最年少26歳の村木汀(なぎさ)氏だ。だが、2月18日の初登院では早速、頼りない言動が見えた。テレビのインタビューに「巨大与党と言われているが、何を実現していきたいですか?」と問われると、村木氏は「な、何をですか?」と困惑した様子。「国民の皆様の声を真摯に受け止め、それを国政に届けていく、そういった役割を担っていければと思います」という、紋切り型の答えに終始した。この様子にSNSで「実現したいことを即答できないような議員なんか不要」「うちの新卒の子の方がしっかりとしたビジョンを持ってる」と辛辣な声が出た。資質への疑問符は村木氏だけにとどまらない。初登院に先立って2月17日に自民党本部で行われた新人研修会後、比例東海ブロックで初当選した26歳の長田紘一郎氏が見せた行動にも、あきれた声が相次ぐ。テレビ局のクルーから意気込みを問われるも、長田氏は質問に正面から答えずに「えぇ、まあ、ちょっと、あの、また時間がありましたら」とごまかした。さらに「ちょっと電話が、すみません」とスマホを耳に当てて足早にその場を立ち去ったが、その際、テレビに映り込んだスマホはホーム画面のまま。つまり、実際は通話はしていなかった。この「エア電話」による取材回避はSNSで拡散。「誰だよこんなの当選させた奴は」「意気込みくらい堂々と答えられないのかね」との批判が殺到した。この研修会に参加した新人議員の様子は多くのメディアに報じられたが、簡単な質問にも自らの言葉で語ることを避ける議員が相次いでいた。Xで自ら発信「私から一般的な心構えをお話しました」新人議員たちの言動以上に疑問視されているのが、彼らを指導する体制そのものだった。研修会で「教育係」として登壇したのは、「裏金」問題で政治団体の収支報告書に計2728万円の不記載があり、党役職停止の処分を受けたことが記憶に新しい萩生田光一幹事長代行だ。萩生田氏は自身のX(旧Twitter)でも「私から一般的な心構えをお話しました。明日の初登院を控え、院内のルールや細かい注意事項もお伝えしました」と報告した。だが、不祥事が記憶に新しい人物が指導役を務める構図に対し、SNSでは「何をやっても駄目だこりゃ」「誰が萩生田にやらせたんだ!」と非難の声が集まっている。フリーライターの武田砂鉄氏はXで「この人選・状況に『え?』と思えるかどうかが大切だと思う」と述べ、党の危機感の欠如を指摘した。自民党が歴史的な大勝を収めた後に、大量当選した新人議員が不祥事を連発するという事態は、過去に何度も繰り返されてきた。05年の「郵政解散」による総選挙では、現財務相の片山さつき氏ら83人の「小泉チルドレン」が誕生。この際、当時26歳の杉村太蔵氏が「料亭に行ってみたい」「真っ先に調べたのは国会議員の給料」などと奔放すぎる発言を連発。当選から半月で反省会見を開く羽目になった。深刻だった「安倍チルドレン」119人さらに、自民党が政権を奪還した12年の衆院選で当選した119人の「安倍チルドレン」では、事態はより深刻だった。育休取得を表明しながら妻の出産直前に不倫が発覚した宮崎謙介氏、未公開株取引の金銭トラブルが報じられた武藤貴也氏、秘書への「このハゲー!」という暴言や暴行で世間を騒がせた豊田真由子氏など、コンプライアンスに関わる不祥事が続出。2期目や3期目に不祥事が目立ったことから「魔の2回生」「魔の3回生」と不名誉な称号を手にする結果に。この世代は、24年の衆院選では当初の4割弱にまで減少するなど、長続きしなかった。今回の衆院選では、自民党は3分の2を上回る316議席を獲得。しかし、高市首相の人気に支えられて当選した「風頼み」の議員に実力があるのかは疑わしい。もはや自民党にとって最大の敵は野党ではなく、身内かもしれない。66人が次代のリーダーになるのか、はたまた地雷となるのか、その言動が高市政権の寿命を左右することになりそうだ。
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