交通系ICカードの普及で、券売機で紙のきっぷを購入する人は大幅に減少した。その代わり、交通系ICカードでもお得になるようになってきた。
回数券や各種のフリーパスは、かつては紙のきっぷで提供され、かさばるけれどもお得で便利なものであった。
しかし、交通系ICカードの普及で多くの人が回数券やフリーパスを使用しなくなり、回数券の機能は交通系ICカードのポイントになり、フリーパスはICカードに搭載するという形へと変化していった。
相次ぐ回数券の廃止
JR東日本は、2022年9月末をもって、普通回数乗車券の発売を終了した。その代わり、月の同一運賃区間での利用回数によってはポイントがつく「リピートポイントサービス」を開始した。
地域によっては、時間帯限定の回数券も存在していた。JR西日本では、「昼間特割きっぷ」というものがあり、2018年9月末まで発売されていた。平日の10時から17時までの入場、また土休日や年末年始は一日中使用でき、3割から4割の割引となっていた。しかしJR西日本は、このサービスをやめて、「ICOCAポイントサービス」を導入した。
回数券からポイントへ――これが大きな流れになっている。私鉄各社でも、近年はクレジットカードと組み合わせた乗車ポイントサービスを提供するようになり、利用者に支持されている。たとえば、京王電鉄の「京王トレインポイント」である。
交通系ICカードをウェブサービスに登録し、乗車履歴と紐付けてポイントを提供するという形態になっている。
回数券の役割は、それでほぼ代替できるようになっている。
鉄道各事業者が回数券を廃止しようとする理由としては、いくつか考えられる。まず、回数券は紙のきっぷであり、自動改札機の機械部分を残す必要がある。自動改札機の機械部分は複雑な構造になっており、何かあると壊れやすい。きっぷが詰まることも多い。
そのあたりの課題を解消するために、交通系ICカードのみの改札を増やしている。近年では、QRコード乗車券の導入が進められており、裏面に磁気を塗布した紙のきっぷ自体なくなるのが近い状況になっている。
また、回数券は、駅近くの金券ショップなどでばら売りなどが行われ、回数券の想定通りの使われ方がされていない状況になっている。同一人物が何度も同じ区間を利用するのに便利にするための回数券が、複数人物によって使用され、しかも金券ショップなどの利益になっているという問題が発生している。
IC搭載のフリーパスが増えるのが便利だが
各種フリーパスは、駅の窓口や券売機で購入していたものだった。しかし現在では、券売機で交通系ICカードに搭載するタイプのものや、スマートフォンのアプリで購入するものなどが増えている。
たとえば、「東京メトロ24時間券」などの東京メトロが関係しているフリーパスは、紙のものと同時に、交通系ICカードに搭載するタイプのものも販売されている。
だが、交通系ICカード搭載のものは、PASMOを保有していないとならず、クレジットカードと一体型のPASMOや、定期券情報が付加されたPASMOを使用してはいけないことになっている。記名もしくは無記名で、定期券情報が入っていないPASMOを所持していなければならない。PASMOは別に購入する必要が出てくる。
東京メトロの場合は、紙のきっぷによる全線乗車パスがあるからいいが、ある鉄道会社で多くの区間に乗らなければならないケースが以前発生し、その場合にはPASMOによるフリーパスしかないという状況を筆者は経験したことがある。モバイルSuicaユーザーとしては大変困った。
紙のパスがないと困る、というケース(たとえば別の交通系ICカードを利用している場合)があると、固定のICカードのみになってしまうと非常に使いにくい状況になる。
意外な解決策?
紙の回数券を交通系ICカードに代替させる場合、ポイントを多くつけるというのが現実的な選択肢として挙げられる。乗車する時間帯によっては、ポイントを多くつけるというのもありだ。多くの人に受け入れらやすいだろう。
だが、交通系ICカードとリンクしたフリーパスは、人によっては、余計に交通系ICカードを買わなくてはならないなど、デメリットもある。やむをえないが、ここがちょっと不便である。
ただ、解決策はありそうだ。
それは、QRコードを使用し、スマートフォンに表示させるタイプのフリーパス。
現在は多くの鉄道事業者でQRコード読み取り部を設けた自動改札機を導入しており、これとクレジットカード決済を組み合わせると、券売機を介さずに1日乗車券などを発売することができると考えられる。実際、すでに東京メトロの24時間券ではこういったシステムのものを販売している。
こうした施策で、各種フリーパスのチケットレス化を促進できるかもしれない。チケットレスの「不便さ」は今後どう解消されていくのか。注目したい。