子ザル「パンチ」話題沸騰で思い出されるチンパンジー「パンくん」 なぜパンチは群れに戻るべきなのか...抱えるリスクから読み解く

パンチと対照的に人とのふれあいが注目を集めた「パンくん」

   過去に日本で話題になった霊長類としては、チンパンジーの「パンくん」がいる。テレビ番組「天才!志村どうぶつ園」(日本テレビ)にも出演していたチンパンジーで、ザ・ドリフターズの志村けんさんとの仲むつまじい様子も見せた。

   パンチと名前が似ていることも相まって、Xではパンくんを思い出すといった声も上がっている。

   パンくんは現在、阿蘇カドリードミニオン(熊本県阿蘇市)で、「奥さん」というメスのポコちゃんと、ポコちゃんとの子であるプリンちゃんと暮らしている。たびたび、YouTubeチャンネル「パンくん宮沢さんTV」に出演しており、おせちやわたあめを食べる、キックボードに乗るといった動画が公開されている。サルの群れに馴染もうとする姿が注目されるパンチとは対照的に、パンくんは人と触れあう場面が多く公開され、それが注目されてきた印象だ。

   パンくんのこうした様子について関澤助教は、パンくんの現在の暮らしの背景を詳しくは知らず、また、さまざまな状況で群れに戻せないこともあるため、「人工保育をして一生人と暮らすことが全く悪いわけではない」と前置きしつつ、

「チンパンジーは力が強いので、事故が起こりうる可能性は当然あります。(人と楽しく関わる)動画を見て、チンパンジーに親しみを持つことは決して悪いことではありませんが、二本足で歩いたり、人と同じような行動をして、人と同じようなものを食べるというのは本来のチンパンジーの姿からはかけ離れているものなので、誤ったチンパンジーの姿が多くの人に広まってしまうということには危機感を感じています」

と警鐘を鳴らした。

   実際パンくんは、12年9月に出演していたショーの後に、研修生を襲い、けがをさせたことが報じられている。

   関澤助教は、特定のトレーナーとは良い関係を築けていても、そのトレーナーが仮に先に亡くなるなど関われなくなってしまったときに、チンパンジーが孤独になってしまうという問題もあると指摘。「チンパンジーは群れで過ごす生き物なので、長きにわたってパンくんが孤独な状況になってしまうことは、良くないと考えられます」とした。

   さらに、絶滅危惧種に指定されているチンパンジーは、「エンターテインメントとして使うっていうこと自体にも、近年はかなり厳しい目が向けられるという状況になっています」という。

   なお、阿蘇カドリードミニオンは、日本動物園水族館協会(JAZA)からこうしたチンパンジーのエンターテインメント利用について改善勧告ののち脱退勧告を受け、09年1月に退会したことが報じられている。

   ニホンザルの場合は、絶滅危惧種には指定されておらず、チンパンジーほど力も強くはないものの、エンターテインメント化による誤ったニホンザル像の拡散への危機感や、群れで暮らす特性から引き離すリスクについては同様のことが言えるとした。

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