ニデック(旧日本電産)の不正会計をめぐる第三者委員会の調査報告書が2026年3月3日に公表された。報告書では、同社の創業者・永守重信氏の強いリーダーシップのもと徹底された「赤字は悪」との考えから、業績目標の達成に向けた強いプレッシャーが不正会計の背景にあったと指摘。永守氏が経営幹部を強く叱責する内容のメールが公開され、SNSで驚きの反響が寄せられている。
必達の営業目標は「投資家目線」、「実力を超えるもの」
調査報告書によると社内では「赤字は悪」との考えが徹底されており、業績目標は必達とされていたが、その目標は永守氏によるトップダウンで決定され、「投資家目線でどの程度の成長が求められているかといった観点から決められた目標であり、事業部門や子会社の実力を超えるものであった」という。
また永守氏は、事業部門や子会社を所管するニデック本社の執行役員やCFO(最高財務責任者)に対し、強いプレッシャーを与えており、これが事業部門や子会社幹部へのプレッシャーに繋がっていったとした。調査報告書は、
「今般発覚した会計不正について最も責めを負うべきなのは、永守氏であると言わざるを得ない」
と指摘している。
調査報告書には、永守氏がニデック本社のCFOや経営幹部に対して送ったという以下のようなメールやチャットの内容が紹介されている。
「君は何度原点にもどれば指導を受けた経営のやり方を実践できると思っているのか? もはや君は約束を守れないし、守る気概や執念もないことは誰もが認めているので信じられない。早く交代者をリサーチして約束を守れるCFOに変えたいし変えなければNIDECの将来は暗いと言わねばなるまい。大きなチャンスを貰っておきながら、そのチャンスを掴めず問題ばかり発生させている現在の君の醜態は君の怠慢たる人間性が主因だと思うがな!恥を知るべきだ!」
「また今期も前期と同じ未達を繰り返すような業績進捗指揮力では、CFOを退任して貰うしかない。職業人生の最期を汚すことがないような結果を残してほしいと思う」
「君が日本電産に入社してからの 2 年半で、君が会社に与えた損失または、得るべき利益の機会損失も含めてて、本日現在 800 億円を超える金額になっている。まさに『君は日本電産(編注:現ニデック)を潰すために来たのか?』という問いになる。私の元から損害だけ残して敵前逃亡していくのか、それとも死ぬ気で働いて損失を埋めてくれるのか?。その選択を早くして、私を悪夢から逃れさせてほしいと思う」
「君のような人物を社長に抜擢したのは間違いだった。折角のチャンスを与えて貰っておきながらそれを掴めない君も情けないと思う」
「君は、この10年余り、自らの潜在能力を出し切っあた(原文ママ)ことは一度もなかったと思う。自分では精一杯頑張ってきたと思っているのだろうが、私の目にはそう見えたことは一度もなかった」
創業メンバーにも強い叱責「君を頼りにしてきた私が馬鹿だった」
さらに、創業メンバーで取締役会長を3月3日付けで退任した小部博志氏に対しても、永守氏は次のような強いプレッシャーをかけるメッセージを送っていたという。
「頼りにならない人物ばかりで、ここまで会社を大きくしてきた私が間違っていたと思うしかないのだろう。君を頼りにしてきた私が馬鹿だったようだ!」
「何時まで訳の分らないことを言っているんだ!。経営は結果なんだよ!。一体何時まで同じ言訳ばかりしているのか!。事業計画未達は悪なんだよ!。もっと結果責任を全うしろや!。君がこんな姿勢だから●●も▲▲も未達でも平気なんだ!」
また調査報告書は、永守氏による叱責だけでなく、本社執行役員からグループ会社幹部に対して「お前は首だ」「お前は S級戦犯だ」「お前は犯罪者だ」といった発言があったとの証言を掲載しているほか、元執行役員の「転職エージェントからは、『もう人材を紹介したくない。』と言われたこともある」といった発言も伝えている。
こうした内容にXでは、「ニデックの報告書えげつない...」「想像以上より酷い」「読んでるだけで怖くて泣きたくなる調査報告書もそうそうない」といった声が寄せられている。
永守氏は25年12月19日付けで代表取締役 取締役 グローバルグループ代表(取締役会議長)を辞任し名誉会長に就任したが、26年2月26日に名誉会長職の辞任を発表している。
なお、調査報告書によると、不正会計の調査は継続中という。