人口が4分の1に減った石巻市雄勝、直立する防潮堤
宮城県石巻市雄勝を、記者は2026年2月下旬に訪れた。ここは、高さ約17メートルの津波に襲われた。震災後、かさ上げと防潮堤の整備が行われた一方、人口は激減した。
道の駅は、海面から約9メートルのところに建つ。ここも、震災後に造成された。直立する防潮堤が、海との間を隔てる。41段の階段を下りて海辺までいくと、視界には雄勝湾が広がった。
その後、太平洋を左に見ながら県道238号線に沿って歩いた。防潮堤はずっと続く。途中、壁面に見事なアートを施した一角が現れた。海が見えない代わりに、松林の美しい絵柄が気持ちを和ませてくれた。
30分ほど歩いた先に、「雄勝ローズファクトリーガーデン」(以下、ガーデン)が見えた。運営する法人「雄勝花物語」の代表理事・徳水利枝さんは震災で、雄勝中心部にあった自宅が全壊した。
ガーデンの近くは現在、更地や太陽光パネルが並び、人家はない。この辺りにかつて住んでいた人たちは会社員や公務員が多く、震災後は別の地域に移った。11年以前は4000人ほどいた雄勝の人口は26年1月1日現在、970人だ。
雄勝生まれの徳水さんは、残った。
「雄勝を離れての生活が、想像できませんでした。復興に自分が主体的に動きたかった。いろいろと考え、試したうえで実感したのは、私に残された土地をどう生かすか。そこで、まずは片づけて花を植え始めたのです」
活動を始めると、ボランティアに来る人が「手伝いますよ」と参加してくれるようになった。12年に入ると仙台の造園会社の社長や、千葉大学園芸学部の関係者と協力者の輪が広がり、ガーデン運営が本格化していった。
徳水さん自身は石巻市中心部の「みなし仮設」から、雄勝まで車で通った。
「当初はライフラインが復旧していなかったので、灯油缶に水を入れて持ってきて、花に水をあげていましたね」