熱中症死亡の症例分析で目立つ「エアコンの故障」 経産省らが呼びかけ「早く試運転を」

   2026年夏も平年より高温の猛暑が懸念されている。エアコンが故障したら室内にいても熱中症になる恐れがあり、「熱中症対策に、エアコンの試運転を! 夏本番の修理や設置工事は非常に混み合います」と経済産業省やメーカーが呼びかけている。 試運転による故障の発見が、夏を安全に過ごす重要ポイントだ。

  • 夏本番へ備えた「故障の早期発見」のために試運転が必要だ(画像はイメージ)
    夏本番へ備えた「故障の早期発見」のために試運転が必要だ(画像はイメージ)
  • 一人暮らしの高齢者には声掛けや確認の意識を(画像はイメージ)
    一人暮らしの高齢者には声掛けや確認の意識を(画像はイメージ)
  • 夏本番へ備えた「故障の早期発見」のために試運転が必要だ(画像はイメージ)
  • 一人暮らしの高齢者には声掛けや確認の意識を(画像はイメージ)

25年の熱中症搬送患者は10万人超え、6割が高齢者

   気象庁によると、地球温暖化の影響により、地球全体で大気全体の温度が底上げされる。日本気象協会が運営するサイトtenki.jpの記事も「昨年と同様に夏の厳しい暑さが前倒しで到来し、夏の長期化を覚悟せざるを得ない」と見込んでいる。

   記録破りの暑さがつづいた2025年は、消防庁総務省によると、5~9月の熱中症搬送患者が10万人を超えた。過去最多であり、その6割は高齢者だった。また東京都では、発生場所の4割を「住居等居住場所」が占めた。これらは室内の温度管理がいかに大切かを示している。

   東京大学と東京都監察医務院が2013~2023年に熱中症で亡くなった1447症例を分析したところ、「エアコンを適切に使いこなせていなかったために死に至ったと思われる事例」が213例あった。故障やリモコンの電池切れ、送風口にほこりが詰まり風が出ていなかったケースもあったという。

試運転で故障の早期発見、異音や異臭がしないか

   試運転の目的は、夏本番に備えた「故障の早期発見」だ。主要メーカーは30~40分程度かかると説明している。ダイキンによると最初の10分間は、冷風が出るか、異常を示すランプが点くかをチェックする。さらに30分間かけて結露水が漏れていないか、ホースを伝って正しく排水されるかを確かめる。異音や異臭がすればフィルターや熱交換器の汚れや目詰まりが疑われるという。

   では、試運転に最適な時期はいつだろう。メーカー団体の日本冷凍空調工業会は4月10日を「エアコン試運転の日」に制定している。夏が来る前の早めの時期と「シ(4)ウンテン(10)」の語呂合わせで選んだ。また、ダイキンは「気温23~25℃の時期」が最適とし、桜前線のように、各地にいつ訪れるかを図解した「エアコン試運転前線」をサイトで公開している。

リモコンの電池交換、通風口・フィルターなどの掃除

   とりわけ高齢者など「エアコンを使いこなせない人たちを取り残さない」ために、東京大学などの研究チームは次の4点を挙げている。

(1) 暑くなる前に、リモコンの電池の交換、通風口・フィルターなどの掃除をする。
(2) 知り合いや親族で別居の一人暮らしの高齢者がいる場合、エアコンが機能しているかどうか、リモコンが使えるか、暑くなる前に一度訪問して確認する。
(3) エアコンの設定について、特に冷房や除湿モードに適切に設定できているか、使い方の説明を行い、必要に応じてメモなどでも伝える。
(4) 近隣でエアコンの室外機が動いていない、故障しているような音を立てている状況を発見した場合、一人暮らしや高齢者であれば、エアコンがきちんと使える状態なのか、声掛けをする。

   わずか30~40分の手間が夏の安全を左右する。暑さが本格化する前に、今年こそしっかり気を配りたい。

(ジャーナリスト 橋本聡)

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