「ヒトヒト感染の明確な証拠ない」で各国の水際対策に遅れ
テドロス事務局長は「アンデス型の潜伏期間は最大6週間であるため、さらに多くの症例が報告される可能性がある」としたものの、一貫して「一般市民に感染が拡大するリスクは依然として低い」と述べている。
しかし、こうしたWHOの対応に疑念の声があがっているのはなぜか。
それは、テドロス事務局長がカナリア諸島の住民に発した言葉が、新型コロナウイルス感染症に対するWHOの初期対応の記憶を呼び起こしたからだろう。
2020年、現在と同じテドロス氏が事務局長を務めていたWHOは、新型コロナウイルス感染症が流行した初期に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の発令やパンデミックの認定が遅れてしまった。
加えて、WHOが「ヒトからヒトへの感染の明確な証拠はない」と発信したこともあり、各国の水際対策に遅れが生じた。
この初動の遅れが、世界的な感染爆発の一因として指摘されている。
これはWHOの独立委員会「パンデミック予防・対策・対応独立パネル(IPPPR)」による報告書「COVID-19:新型コロナを最後のパンデミックに」でも明記されている事実である。
もちろん、過度なパニックや根拠のない批判は慎むべきだ。
未知の変異株に対して、初期段階で完璧な舵取りを行うことはどの組織にとっても至難の業だからである。
ただ、WHOに注がれている厳しい視線は、世界の人々が持つ「二度とパンデミックを繰り返したくない」という思いの現れであることは間違いない。