埼玉県立伊奈学園中学校(伊奈町)で2022年6月にあったカッター切り付け事件で、25年6月に発覚してから調査してきた中高一貫の伊奈学園総合高校は、調査の遅れについて公式サイトで謝罪し、今後は、第3者委員会で調査が進む見通しを明らかにした。
サイト上では、当時の対応に不手際があったことを認め、「初期対応を再確認」などの改善策を取ると説明している。ただ、不手際の内容に具体性が欠けており、加害生徒への対応など、依然として不明な部分も多い。
「被害生徒が教員に打ち明けられる環境が不十分だった」
この事件を最初に報じたのは、週刊文春の26年2月2日付ウェブ版記事で、中学校名は伏せられていた。その後、朝日新聞が25日付、埼玉新聞が翌26日付のウェブ版記事で中学校名も報じた。
それらの記事によると、被害者の3年生男子生徒は22年6月、教室での会話中に怒り出した加害者の同学年男子生徒からカッターで切り付けられ、右ひざの内側を7針縫うケガを負った。男子生徒は、保健室で手当てを受けたが、報復を恐れて自損の事故だと偽ってしまった。それまで、被害・加害生徒間の交流はあまりなかったものの、加害生徒の粗暴な振る舞いは知っていたという。
教室には他の生徒らもおり、加害生徒がカッターを持っていたと担任が聞き取りでつかんでいたという。しかし、110番、119番通報は行われず、被害生徒は自損事故扱いになった。
被害・加害生徒ともその後、併設の高校に進んだ。ところが、被害生徒は、事件に苦しみ続け、高校3年生になって夏休み前の3者面談で初めて告白した。これを受けて、高校側は調査を始めた。被害生徒側から埼玉県警に被害届が出され、加害生徒は、傷害の非行事実で家裁に送致されている。被害生徒側は、翌26年に入って文春の取材に応じ、事件の詳細が報じられた。新聞各紙のその後の報道では、第3者委員会などで調査する方向も伝えられた。
その後、同校は、5月28日になって、「お詫びとご報告」と題する校長室からのお知らせを出し、「カッターナイフ傷害事件の今後の対応」などについて説明した。
そこでは、同校は、当時の中学校側が事件について自損事故と判断したことに対し、「被害生徒が心理的負担を感じることなく事実を教員に打ち明けられる環境が不十分でした」と分析した。